寒天で血圧対策ができる?管理栄養士が3つの食べ方をご紹介
「そろそろ健康を気にしないといけないけれど、美味しいものはやめられない」「お医者さんに血圧が高いと言われてしまった…」「身体に悪いと知っていても好きな物は食べたい」、これは多くの方が抱える悩みなのではないでしょうか。
今回取り上げる「寒天」は、海藻由来の食物繊維が入ったヘルシーな食品として注目されています。さらに寒天を食事に取り入れることで、好きなものを食べながら血圧を正常に保つ対策まで期待できます。
今回の記事では、寒天の機能性成分や身体への健康効果、寒天を使ったヘルシーおやつなどについて紹介していきます。
目次
寒天が高血圧に効果がある仕組みとは
まず皆さんは、寒天がどのような原料から作られているか知っていますか?
寒天の正体は、テングサやオゴノリという海藻です。ところてんや、あんみつなどに入っている固まった状態の寒天は、このテングサを一度煮溶かして冷やし固めたものです。
寒天が固まる原理は、寒天に含まれるアガロースとアガロペクチンという成分に由来しており、これらの働きによって、温めると溶け出し、冷やす時に水分と一緒に固まるという性質が現れるのです。
このアガロースとアガロペクチンは水溶性食物繊維であることから、コレステロールを吸着して体外に排出することで血中のコレステロール値を正常に保ったり、ナトリウムを排泄して高血圧の予防をしたりと、血圧をはじめとした血管の健康に役立つといわれています。
寒天を食生活の中に取り入れることで、健康維持に活用していきたいですね。
血圧以外にも寒天には魅力がたくさん
寒天の主成分は食物繊維であることから、血圧の他にも生活習慣病予防やダイエットなど、私達の健康にとって嬉しいさまざまな効果があります。
そんな寒天のメリットを3つに分けてご紹介していきます。
カロリーが低くヘルシーなおやつとして最適
まず1つ目のメリットは、カロリーが低いことです。”寒天はヘルシー”というイメージを持っている人は多いと思いますが、実際にはどのくらいのカロリーが含まれているのでしょうか。
寒天(粉寒天)には、100gあたり165kcalのエネルギーが含まれています。これは、調理の際に同じように使用されるゼラチンと比べて約半分のカロリーになります。寒天は1食分で1〜2g程度しか使用しないことから、限りなく少ない値になることはお分かりいただけますね。
また、「ゼラチンと寒天は何が違うの?」と疑問に思われる方もいるかもしれませんが、その違いはそれぞれの原料にあります。寒天は海藻から、ゼラチンは動物のたんぱく質(コラーゲン)から取ったものになるため、寒天は食物繊維が多い一方で、ゼラチンはたんぱく質が多いという特徴があります。
たんぱく質やコラーゲンから栄養摂取したいならゼラチン、食物繊維の健康効果を期待するなら寒天と使い分けても良いでしょう。
何より寒天が活躍するのは、おやつではないでしょうか。カロリーが少ないので、健康への悪影響を気にせず食べることができますし、あれこれと工夫してさまざまなデザートを手作りするのも楽しみになるかもしれませんね。
肥満防止で生活習慣病の予防に
2つ目のメリットは生活習慣病の予防に期待できることです。
寒天(粉寒天)の栄養成分は79%が食物繊維、17%が水分となっており、先ほどお話したような食物繊維が大部分を占めています。寒天にはカロリーが含まれるものの、その主成分が食物繊維であることから、肥満の予防をはじめとしたさまざまな生活習慣病予防に期待されているのです。
例えば、寒天に含まれる水溶性食物繊維は、小腸での栄養素の吸収速度を緩やかにする作用があり、食後の血糖値上昇を抑えるとされています。また、コレステロールを吸着して排出する作用があることから、血中コレステロール値を改善する働きも期待できます。
それ以外にも食物繊維は、大腸内の細菌により発酵されると腸内の善玉菌のエサとなるため、腸内環境を整える働きも期待できます。お通じにお悩みの方にはとても嬉しい作用ですね。
このように、寒天に含まれる食物繊維には身体が喜ぶ効果がたくさんあるのです。
食べ過ぎ防止でダイエット効果
3つ目のメリットは食べ過ぎ防止によるダイエット効果です。
寒天がダイエットに良い理由は、栄養素以外にも、満腹感を感じやすい特徴が2つあるからなのです。
その理由の1つは、寒天の弾力性です。寒天の食感は少し硬めで噛みごたえがあり、食べる時に噛む回数が増えることから、満腹中枢が刺激され、少ない食事で済ませることができます。
もう1つの理由は寒天の食物繊維による水分吸収作用です。寒天に含まれる水溶性食物繊維には、食べた後に体内で水分を吸収して膨らむ作用があるため、食前や食事中に取り入れることで満腹感が増し、少ない食事量でも腹持ちが良くなります。
これらの理由から、寒天は食事を制限しているという意識なく、満腹感のある食事で無理のないダイエットができるのです。「食べる量を減らしたいのに、いつも食べ過ぎてしまう…」という方は、食べ過ぎ防止に活用してみてはいかがでしょうか。
寒天を使ったおすすめの料理3選
血圧ケアをするためには、寒天の食物繊維だけでなく、さまざまな栄養素を一緒に摂取することが必要になります。うまく食べ合わせをすることによって、相乗効果が期待できるかもしれません。
寒天はゼリーなどのデザートで使用するイメージがありますが、おかずやサラダに取り入れることもできる万能食材です。以下の料理を参考に、食事に取り入れてみてくださいね。
フルーツ寒天
おすすめメニュー1つ目は「フルーツ寒天」です。
高血圧予防には果物の摂取が推奨されていますが、寒天と色々な果物を合わせて摂取することで、デザートとしての満足感も高く、なおかつ血圧ケアもできる良いとこ取りのメニューです。
フルーツ寒天は、冷やし固めた寒天を角切りにして、果物、赤えんどう豆などをトッピングし、黒みつを少しかけた甘味でお好きな方も多いと思います。
血圧ケアに良い組み合わせの果物は、りんご、バナナ、メロン、すいかなどです。できるだけさまざまな種類の果物と合わせて食べることで、飽きずに最後まで楽しむことができますね。
また、牛乳を使ってフルーツ寒天寄せにすると、牛乳のカルシウムやたんぱく質も摂取することができ、血圧に対しての働きと、骨粗しょう症予防の作用が同時に期待できます。牛乳はできるだけ低脂肪のものを選ぶとより良いでしょう。
海藻サラダ
おすすめメニュー2つ目は「海藻サラダ」です。海藻サラダは、血圧ケアに必要な栄養素、カリウムやマグネシウム、食物繊維を一度に摂ることができるメニューです。
サラダとして寒天を食べるには、棒寒天を水で戻して細かくちぎると食べやすくなります。寒天と一緒に、好きな野菜やわかめ・ひじきなどの海藻類を合わせ、お好きなドレッシングで和えてください。
しらすなどの小魚や、ごま、豆腐などを追加することで、より血圧のために健康的で美味しいサラダに仕上がります。小魚からはカルシウム、ごまからはカルシウムやマグネシウム、豆腐からはカルシウムやたんぱく質を摂取することができるので、ぜひ積極的に取り入れてみてくださいね。
枝豆と野菜の寒天よせ
おすすめメニュー3つ目は「枝豆と野菜の寒天よせ」です。
軽く火を通した枝豆やオクラ、色とりどりの野菜を型に敷き詰め、コンソメ味の寒天液で冷やし固めた一品です。血圧に良い栄養素として、枝豆からはカリウム、オクラからは水溶性の食物繊維を摂取することができます。
お好みで寒天液の味付けを和風にしたり、一度寒天を固めた後に崩してジュレ状にしたりなど、さまざまな食べ方を楽しむことができます。食卓に彩りを添える一品としてもぜひ活用してみてくださいね。
まとめ
今回は寒天の健康効果と、より血圧ケアに良い食べ合わせについてご紹介してきました。
食事によって健康を改善することはできますが、実は日本人の高血圧の1番の原因は食塩の過剰摂取ともいわれています。いくら血圧に良い食品を食べていても、塩分の過剰摂取が続くとせっかくの努力が水の泡になるかもしれませんので、塩分の摂り過ぎにはくれぐれもご注意ください。
血圧をはじめ身体に嬉しい働きがたくさんある寒天ですが、食物繊維の摂り過ぎは腸内の水分が失われ便秘をもたらすという見解もあります。通常の食事に取り入れる程度であれば問題ありませんが、あまりにも多量に摂取することは控えましょう。
また、寒天は私達の生活で必要な栄養素をすべて満たすものではありません。主食、主菜、副菜とバランス良く食事をしながら、寒天をうまく取り入れることを心がけてみてくださいね。
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