秋が旬の柿の持つ栄養とその効果とは?【管理栄養士が解説】
柿は秋の風物詩。甘味がたっぷりと詰まった柿はデザートにはぴったりの果物ですよね。
「柿が赤くなれば医者が青くなる」ということわざも存在するほど、柿は健康に良いとして昔から食べられてきた食材です。この記事では柿にはどのような栄養素が含まれておりどんな効果が期待できるのかを解説していきます。
また、スーパーでの柿の選び方や美味しい食べ方についても紹介していくので、柿をより美味しく健康的に楽しみたい人はぜひ参考にしてみてください。
目次
柿のもつ栄養素と効能とは
柿は栄養価の高い果物として知られています。注目したいのがビタミンで、ビタミンCやB1、B2、A、K などさまざまなビタミンが含まれています。そのなかでも特に多いのがビタミンCであり、柿一個を食べると1日のビタミンCの推奨量をすべて補えてしまいます。
ビタミンCの主な作用はメラニン色素の沈着を防いだり、コラーゲンの合成を助けたりするなどの肌に関する働きです。また、ビタミンC自体に抗酸化作用があり、アンチエイジングや生活習慣病予防に効果があると考えられています。
人が生きていく上で欠かせない必須栄養素は、ビタミンC以外のものはそれほど多く含まれているとはいえませんが、注目したいのは柿に含まれるポリフェノールのタンニンです。タンニンは渋みの原因となるポリフェノールで、ビタミンCと同じく抗酸化作用を持っています。
ポリフェノールも生活習慣病や老化防止に役立つ成分です。生きていくために必須の成分ではありませんが、健康的に生きたい人には積極的におすすめしたいものです。
このように、柿にはビタミンCやタンニンというポリフェノールが豊富に含まれています。この2つの栄養成分の作用からも、加齢に伴ってリスクが伴う生活習慣病の予防や老化防止に役立つ食材といえるのではないでしょうか。
また、柿1個のエネルギーは約119kcalとなっています。甘味が強いので決して低カロリーの果物というわけではありませんが、おやつを食べるよりは栄養面でも優れています。ダイエットをしたい人や甘いものが食べたくなったときには役立ててくださいね。
糖質
糖質は体を動かすエネルギー源となる栄養素で、人が生きていくためには欠かせないものです。また脳の唯一のエネルギー源となっており、不足すると疲れやすくなったり眠くなったりといった症状が見られる場合があります。
糖質は炭水化物から食物繊維の量を引いて求めることができます。あまり知られていませんが広義では食物繊維も炭水化物の仲間なのです。
柿1個あたりに含まれる糖質の量は約23g。バナナ1本に含まれる糖質の量は約15gなので、それよりも多いと考えておきましょう。糖質補給には適した果物ですね。
ビタミンC
柿は1個あたり1日の推奨量以上のビタミンCを含んでいます。柿を1個食べれば十分にビタミンCを摂取できていることになります。
しかし、ビタミンCは水溶性のビタミンなので必要以上に摂取をしても尿として体外に排出されます。ビタミンCを摂取したいからといって柿を2個や3個食べてもあまり意味がないので注意しましょう。
ビタミンCの主な働きは抗酸化作用によって細胞の酸化の原因になる活性酸素を抑制することです。これは生活習慣病の予防や老化対策につながります。
またコラーゲンを生成するのに欠かせないビタミンであり、シミの原因となるメラニン色素の沈着を抑えてくれます。少しでもお肌を若く保ちたい人には役立つビタミンといえるでしょう。
ポリフェノール
ポリフェノールは植物が光合成を行う際にできる物質の総称です。現在では何千種類ものポリフェノールが存在するといわれています。人にとって必須の成分ではありませんが、摂取することで健康増進に良い影響を与えてくれると考えられているのがポリフェノールなのです。
ポリフェノールは含まれている食品によってそれぞれ種類が異なります。柿に含まれているポリフェノールは緑茶や紅茶などにも含まれる「タンニン」というものです。タンニンは渋みの原因となる成分で、抗酸化作用を持っています。
この抗酸化作用によって生活習慣病の予防や老化防止に役立つというのは、ビタミンCと同じく期待できる効果です。
食物繊維
柿には食物繊維が多いといわれているバナナの約3倍の量の食物繊維が含まれています。特に多いのが不溶性食物繊維です。柿を食べると繊維のような筋があるのがわかると思いますが、これが水に溶けにくい性質を持つ不溶性の食物繊維なのです。
不溶性食物繊維は保水性を持ち、胃や腸で水分を含んで膨らみます。この作用から腸の活動を活性化し、排便を促す作用があると期待されているようです。また、腸内環境を整えてくれるので、善玉菌を増やして良い環境を作り、免疫を高めることでさまざまな病気の発生を抑制するとも報告されています。
旬とおいしい柿の見分け方
スーパーなどで柿を購入する時どのように選んでいるでしょうか。ただなんとなく柿を購入するだけではなく見分け方を知っておくと、より満足感が増しますよ。ここでは柿の旬とおいしい柿の見分け方について解説します。
柿の旬は早い品種で9月の下旬、遅くて12月まで出回ります。1番多く流通しているのは10月です。旬の季節は栄養価もおいしさも高いとされているので、ぜひ10月には柿をたっぷりと堪能してくださいね。
おいしい柿を見分けるポイントはまずヘタをよく観察してみましょう。ヘタは4枚ありますが、色はなるべく緑が残っているもの、そしてヘタが果実に張り付くように隙間がないのがベストです。
次に外見は全体的に濃いオレンジ色になっているものや、形が均等で整っているものがよいでしょう。触ったときにつぶれるような柔らかいものは熟しすぎていますので、ハリがありズシリと重みを感じるものが理想です。
柿を食べすぎるとどうなる?
どんな食品も食べ過ぎはよくないので、適度にとり入れるのが良いというのは当然のことです。柿も他の食品同様食べ過ぎは良くありません。柿を食べ過ぎると次のようなものが起こる可能性があります。
まず、柿にはタンニンが含まれていますが、そのなかでもシブオールという成分は胃酸と混ざり合うと柿の食物繊維を石のように固まらせてしまう性質があるといわれています。胃の中に石ができてしまうと胃が締め付けられたり、吐き気が起こったりといった症状が見られるようです。
ビタミンCは取りすぎても排出されるのであまり心配は入りませんが、糖質の取りすぎは他の食材も同じように体重増加の原因となります。柿を1つ食べればビタミンCは1日分のビタミンCが取れてしまうので、多くても1日1個までの量が理想だといえるでしょう。
柿の美味しい食べ方3選
柿は通常であれば生で食べることの多い果物ですが実はいろいろな食べ方を楽しむことができます。普通の食べ方に飽きたときにはぜひ違う食べ方も試してみてください。柿は甘みが強いのでデザートとしてもおすすめです。少しだけアレンジを加えてらワンランク上のデザートを作ってみましょう。
干し柿
柿の渋みの原因となっているタンニンは、熟すほど口の中で溶けづらくなるようです。タンニンが口の中に広がって渋みを強く感じる場合に試して欲しいのが干し柿。干し柿は昔から渋柿の渋み対策として使われてきました。
干し柿の大きさは元の大きさの3分の1程度になりますが、甘さが凝縮されて砂糖の1.5倍の甘味になるそうです。また柿の水分が蒸発することでビタミンCも減ってしまいますがその代わりにβカロテンが通常の柿よりも大幅に増えるといわれています。
B-カロテンは肌の健康にも関わり、抗酸化作用を持っています。より抗酸化作用を高めたければ干し柿にするという方法がおすすめです。糖分の量が増えるというよりは甘味の質が変わるということですね。
シャーベット
さっぱりとした口当たりが人気のシャーベットは柿を使って作ることもできます。シャーベットを作る場合は、柿は熟したものがおすすめです。皮ごとラップで包んで冷凍庫で凍らせて解凍させながら食べます。食べるときはスプーンを使ってアイスクリームのようにすると良いでしょう。丸ごと冷凍してそのまま食べることができるので、アレンジしたいときにはぜひ試してみてください。時間もそれほどかからず手間も少ない簡単なデザートのでき上がりです。
柿サラダ
果物の摂取量は、1日の目標が200グラムとされており、達成するにはただ食べるだけでは難しい場合もあります。しかし、そんなときは果物を料理の材料として使うことで自然と摂取量を増やすことが可能です。
1番作りやすいのが柿のサラダ。柿をトッピングするだけでおしゃれなサラダに仕上がります。また、柿を加えることで程良い甘さをプラスすることができるので、ドレッシングなどの塩分との対比効果でより美味しく感じられるかもしれません。
また、サラダは他の野菜をたっぷりと取ることができるので、ビタミンやミネラル、食物繊維なども同時に摂取することができます。普段野菜や果物の摂取量が少ないなと感じている人はぜひサラダのトッピングとして柿を使ってみてはいかがでしょうか。
お気に入りの柿料理は見つかりましたか?柿はそのまま食べるのはもちろんおいしいのですが、たまには他の食べ方を試してみるとよいかもしれませんね。大量にまとめ買いをした時や、おすそ分けでたくさんもらったときにはぜひ他の料理を試してみてください。
まとめ
柿には糖質や食物繊維などさまざまな栄養素が含まれていますが、注目したいのは1個で1日分の目標量を取ることができるビタミンCです。ビタミンCは肌や粘膜の健康を保ったり、抗酸化作用によって病気から体を守る働きがあります。違った食べ方で柿を楽しみたい方は、まずは簡単にできるシャーベットやサラダのトッピングとして活用してみてくださいね。