生姜の栄養とおすすめの食べ方とは?管理栄養士が詳しく解説!
薬効が高い香味野菜として有名な生姜は、特に女性のお悩みで多い冷え性の改善に効き、身体を温めてくれる食材としておなじみです。そんな生姜には旬が2つあります。初夏になるとスーパーに並び始めるハウス栽培や早採りされたものと、11月くらいに並ぶ露地栽培されたものです。
幅広く旬のある生姜ですが、実は身体を温めるだけではなく、ダイエットや免疫力を高める効果もあります。ここではさまざまな効果効能がある生姜の栄養素や、効果的に食べることができる調理法の他に、チューブタイプのものと生のもののどちらが良いのかについても解説するので参考にしてみてください。
目次
生姜に含まれる栄養素の効能とは
生姜はビタミンやミネラルといった野菜特有の栄養素は少ないものの、「ジンゲロール」「ショウガオール」「ジンゲロン」「シネオール」といった生姜特有の辛味や香り成分がたくさん含まれています。
これらの成分は身体を温めるだけでなく、脂肪燃焼効果や関節痛の痛みを緩和してくれ、殺菌作用があるなど、古くから日常生活のサポートをしてくれる働きがあります。それでは各栄養素にはどのような効能があるのでしょうか?一つずつご紹介していきます。
ジンゲロール
ジンゲロールは生の生姜を食べたときに感じる辛味成分で、植物が紫外線や外敵などから身を守るために生成している物質「ファイトケミカル」の一種です。
ジンゲロールには殺菌作用、吐き気や頭痛を抑える作用、免疫細胞を活性化する作用などがあります。お寿司と一緒に食べるときにガリがついてくるのも、魚の生臭さを消すことだけが理由ではありません。殺菌作用を利用した日本人の昔ながらの知恵です。
そして、生のままではジンゲロールという成分ですが、加熱や乾燥をさせることで、独特の香りを持つショウガオールやジンゲロンに変化し、効能も変化します。
ショウガオール
ショウガオールは生のものには含まれず、生姜を加熱したり乾燥させたりすることによって作られる成分です。ショウガオールは、冷えた身体によって滞ってしまった血流を全身に行き渡らせる血行促進作用があるため、冷え性改善効果があることで有名になりました。
また、血液の循環を促すことから代謝を上げる効果もあり、脂肪燃焼効果もあるため、ダイエット効果も期待できます。また、痛みの原因となる「プロスタグランジン」の生成を抑える働きもあることから、関節痛の痛みや風邪をひいたときに起こる節々の痛みを和らげてくれる効果もあります。
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ジンゲロン
新鮮な生の生姜よりも、長時間加熱や乾燥したときに作られる生姜の独特なさわやかな柑橘系の香り成分のジンゲロンは、その特徴を活かしてジンジャエールの香料としても使われているものです。
ジンゲロンは身体の奥深くから温める効果があるため、免疫力をアップさせてくれ、風邪予防にも役立ちます。発汗作用もあり、生姜を食べると身体がポカポカと温かく感じるのは、ジンゲロンの効果でもあります。
また脂肪燃焼を促進させる酵素のリパーゼを活性化させる働きもあるので、ダイエット効果も期待できるでしょう。セロトニンの分泌を抑える働きもあるため、セロトニンの過剰分泌により起こる吐き気を鎮めてくれる効果も期待できます。
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シネオール
生姜の独特な香り成分シネオールは、ローズマリーやローリエなどのハーブにも含まれています。肉や魚の臭みを抑え、殺菌効果もあるのが特徴です。他には疲労回復や食欲を促進する効果があるため、夏バテしたときや運動直後に食べることで身体の疲れもいち早く緩和する効果があります。
参考:森田草楽堂「ジンゲロン」
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生姜に含まれる栄養成分を効率的に摂取するには
生姜には、独自の辛味成分や香りに由来する栄養素がたくさん含まれていることがわかりました。特に血流を良くしてくれるので、代謝を上げてくれたり、冷えに効果的だったりと女性には特に嬉しい効果がたくさんあります。
他にも殺菌作用などもある古くから食品の保存目的にも使われており、私たちにたくさんの効果や効能があることから幅広く活用されています。そんな多くの効果・効能がある生姜も、食べ方や調理時に工夫をすることで、さらに効果を発揮することができるのです。ここでは、おすすめの食べ方についてご紹介していきます。
加熱する
ジンゲロールは加熱することで作られる栄養素です。特に、生姜と言えば冷え性の改善に使われることも多いですが、生の生姜に含まれる「ジンゲロール」には身体の表面を温める効果があっても、深部まで温める効果がないので、加熱して「ショウガオール」という成分に変える必要があります。
そのため、茹でて生姜漬けにしたり、炒めたりすると良いのですが、100度以上の熱が加わるとショウガオールが破壊されてしまうので、加熱の際の温度管理には注意が必要です。
乾燥させる
ショウガオールは、加熱の他にも乾燥させることで作り出すことができます。生姜を1~2mmほどに皮ごとスライスした後、重ならないように広げて1~2日ほど天日干しにすれば完成です。
他には600wの電子レンジで8~10分ほど加熱することで乾燥生姜が手軽に作れます。しかし、電子レンジを使用する場合は、生姜が燃えてしまう可能性もあるので、レンジの庫内をときどき確認しながら作りましょう。
生で食べる
冷え性の改善や免疫力アップ、代謝を上げたい場合には、加熱したり乾燥したりする必要がありました。しかし、生で食べれば他の効能を得ることができます。生の状態で含まれるジンゲロールには殺菌作用があると前述しました。
そのため、風邪のひきはじめにすりおろした生姜をうどんや豆腐料理に使うことで、症状を和らげてくれる効果があります。しかし、すりおろした生姜に含まれるジンゲロールは空気と触れることで減少してしまうため、食べる直前にすりおろすことをおすすめします。
生姜はチューブのものでも栄養は変わらない?
生姜を手軽に利用したい方の中には、チューブタイプのものを使う場合もあると思います。しかし、先ほども述べた通り、ジンゲロールは空気に触れると効果が低くなるため、チューブタイプのものは加工されてからの時間もかなり経っていることから、身体を温める効果は少なくなると思った方が良いです。
また、チューブタイプのものは保存性を高めるために添加物も使用しているので、生姜の効果をきちんと得たい場合には、ひと手間かかりますが、生のものをすりおろして食べましょう。
冷凍した場合は栄養や効能に違いはある?
生姜は冷凍保存が可能です。また冷凍保存の過程で栄養素が大幅に減少することはないため、効果効能が変わることはありません。
丸ごと冷凍するのではなく、軽く水洗いした後にみじん切りや細切りなど使いやすい大きさに切り、小分けにして冷凍保存することで、実際に生姜を使うときの調理時間を短縮できます。通常、1か月ほどの冷凍保存が可能です。また、解凍するときも凍ったまま調理に使うことで簡単に解凍できます。
生姜を使ったおすすめ料理2選
生姜にはたくさんの独自成分が含まれていることがわかりましたね。そして、これらの栄養素をできるだけ無駄なく食べることができる工夫や保存方法についてもお伝えしてきました。
そこで、最後にこれらの栄養素を最大限に摂り入れながらも、手軽に作れて日常生活に活かせる料理をご紹介します。
豚肉の生姜焼き
和食の定番料理「豚肉の生姜焼き」は、疲れたときのスタミナメニューとして有名です。メインの豚肉はビタミンB1をたくさん含んでいるため、糖質のエネルギー代謝を加速させることから疲労回復効果が期待できます。
そのうえ、生姜には殺菌作用もあり胃の調子を整えてくれるため、豚肉と生姜の組み合わせは、疲労を回復しスタミナをつけるには欠かせない食材の組み合わせです。
生姜のはちみつ漬け
いろいろな薬効のある生姜を手軽に楽しみたい方におすすめなのが、生姜のはちみつ漬けです。生姜をスライスし、はちみつに漬けておくだけで作れます。
はちみつには生姜と同じく、疲労回復効果や殺菌効果があり、しかも生姜には少ないビタミンやミネラルをたくさん含んでいます。そのため、2つを組み合わせて食べることで足りない栄養素を補うことができるのです。
お湯に混ぜて生姜湯、炭酸やお水と混ぜてジンジャエール、紅茶の甘味など、いろいろな飲み物にも使えます。
まとめ
生姜は他の野菜と違う栄養素がたくさん含まれていて魅力的な香味野菜です。身体を温める効果から、冬に意識して食べられることが多いですが、最近では室内の空調の効きすぎによる夏場の冷えも問題になっているので、季節に関係なく食べて、身体の奥からポカポカ温めたいですね。
保存方法や調理方法を工夫することで長持ちもするので、いろいろな食べ方で楽しんでみてはいかがでしょうか?
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