魚の栄養を種類ごとに紹介!栄養を逃さない食べ方も管理栄養士が解説

年齢とともに健康意識が高まり、魚を食べる頻度の上がっていく傾向があります。魚には身体によいとされる不飽和脂肪酸が多く含まれており、焼き魚など調理の手間がかからない食べ方ができるというメリットもあります。

白身魚や青魚などさまざまな種類がありますが、それぞれにどのような違いがあるのかを見てみましょう。栄養を逃さない食べ方についても解説していきます。

魚に多く含まれている栄養素

魚はたんぱく質源となる食材で食事のメインとなることが多いです。たんぱく質は皮膚や臓器、髪、筋肉など身体を構成する組織を作る栄養素で、筋力を維持するためにも必要です。加齢に伴い筋肉量は減りやすくなりますが、たんぱく質をしっかり摂ることでロコモティブシンドロームの予防に繋がります。

また、魚には骨の形成に関わるビタミンDも多く含まれています。加齢に伴い骨量は減少し、骨粗しょう症などのリスクが高まってきます。ビタミンDは日光を浴びることで合成することも可能ですが、室内で過ごす時間が長い方は魚などから積極的に摂ることをおすすめします。

さらに魚の栄養素の特徴としてオメガ3脂肪酸という不飽和脂肪酸が多く含まれていることが挙げられます。肉類に含まれている飽和脂肪酸はコレステロール値を上げるリスクがあるのですが、不飽和脂肪酸は反対に下げる働きがあります。血液循環をよくするため動脈硬化の予防に繋がると考えられているのです。

たんぱく質

身体の組織を構成する栄養素でアミノ酸から作られています。アミノ酸は20種類のものが存在しており、この組み合わせによってたんぱく質の品質を評定する「アミノ酸スコア」というものが存在しています。魚のアミノ酸スコアは100であり、良質のたんぱく質といわれ身体のなかで効率的に使われやすいたんぱく質です。

また、たんぱく質はエネルギー源にもなります。1g4kcalの熱量を持っており身体内外の活動を支えています。最近では高たんぱく食が勧められていることもありますが、たんぱく質の摂りすぎは腎臓などに負荷をかけてしまうこともあるので、自分の活動量に合った量を知ることが大切です。

ビタミンD

ビタミンDは脂溶性の性質を持っており、水に溶けにくく油脂に溶けやすいビタミンです。きのこなどの植物性食品に含まれるビタミンD2と魚や卵などの動物性食品に含まれるビタミンD3があります。他のビタミンは体内で合成することができませんが、ビタミンDの特徴は日光に当たることによって体内で合成されるという点です。

ビタミンDには血液中のカルシウム濃度を高めて骨を丈夫にする働きがあり、骨量が減少しやすい更年期以降には特に必要な栄養素といえるでしょう。また、免疫機能を調節する働きを持っており、感染症の発症や悪化を予防する働きにも関与することがわかってきました。

オメガ3脂肪酸

脂質とひとまとめにいっても、構成している脂肪酸の種類によって性質には違いがあります。魚の油に多く含まれているのはオメガ脂肪酸と呼ばれるDHAやEPAといった不飽和脂肪酸です。

DHAは脳の働きを活性化させることで認知症予防や抑うつなどの症状に有効との報告があります。また、EPAは血栓を防ぐ作用によって動脈硬化の予防や抗炎症作用や免疫賦活作用などの効果が期待されている脂肪酸です。

全ての人にはっきりとした効果が得られるかどうかということはいえませんが、魚を稀にしか食べない人よりも習慣的に食べている人の方が虚血性心疾患のリスクは少ないという結果があります。*

*「魚・n-3脂肪酸摂取と虚血性心疾患発症との関連について」国立研究開発法人国立がん研究センター

魚の血合いや卵にはどんな栄養がある?

魚を処理したときに生じる血合いは生臭さが原因で苦手とする方もいるかもしれません。しかし、血合いの部分には実は身体にうれしい栄養素が含まれています。

血合いに含まれているのは鉄、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンB6などの栄養素です。鉄は血中にあるヘモグロビンの構成成分となるもので貧血予防に役立ちます。ビタミン類は皮膚や粘膜の健康を維持したり、代謝をサポートしたりする働きを持っています。鉄は不足しやすい栄養素なので、めまいやふらつきなどが気になる方は血合いの部分を活用してみるのもよいかもしれません。

血合いは酒を加えた熱湯でサッと茹でるだけで食べやすくなりますよ。にんにくや生姜など、香りの強い野菜と一緒に炒めると生臭さも和らぎます。血合いは下ごしらえを上手にすることで食べやすくなるので、捨てずに使ってみましょう。

また、たらこやいくらなどの魚の卵にはコレステロールが多く含まれています。少量でもカロリーは高めで塩分も多くなりやすいので食べる量には注意が必要です。

栄養の面では、「魚はカルシウムが多い」と思われやすいのですが、カルシウムは骨の部分に多く含まれるのであって身の部分にはほとんど含まれていません。カルシウムを摂りたいときは小魚を食べたり、骨まで柔らかく煮ている魚の缶詰などを利用してみましょう。

生魚の場合と加熱した場合の栄養の違いは?

生魚を加熱すると水分が減るので重量が少なくなります。しかし、たんぱく質や脂質などの主要な栄養素の量にはほとんど変化はみられません。変化が起こりやすい栄養素にはビタミン類が挙げられます。ビタミンのなかには加熱に弱い性質を持つものもあり、特にビタミンB12は半分以下にまで下がってしまいます。

加熱の仕方にもよりますが、できるだけ栄養素を逃したくないときは脂が落ちる網焼きよりも、溶け出た栄養素も一緒に摂れる煮魚、栄養を逃しづらい蒸し焼きなどの方がおすすめです。

魚は食品自体に塩分を含むので、味付けをするときは薄味にするように気を付けましょう。魚だけではなく、野菜を一緒に摂れるような料理にすると栄養価もアップします。

通年で食べられる魚の栄養素

魚にはそれぞれ旬というものがあり、季節によって獲れる魚が異なります。旬の時期には美味しさはもちろん栄養価も高くなるので、美味しいものは美味しい時期に選んで食べることをおすすめします。

ここでは、1年を通して食べることができる魚を紹介し、どのような栄養素が含まれているのかを解説していきます。

マグロ

マグロには高級魚とされる本マグロやツナ缶に利用されるキハダマグロなどさまざまな種類のものがあります。

また、部位によって脂ののりかたが違うので、栄養価も変わってきます。脂身の多い部分はトロと呼ばれ、不飽和脂肪酸が多く含まれています。脂が多いといっても良質の脂質の割合が高いので、血中の脂質を減らすのに役立つでしょう。

一方で赤身の部分はトロよりも脂質が少なく1/3程度になっています。たんぱく質が豊富なので、赤身の部分をとり入れることで効率よくたんぱく質を補給できるでしょう。

サケ

サケは白身魚に分類されますが、アスタキサンチンというポリフェノール類が含まれており身がピンクになっています。

サケはスーパーフードとも呼ばれるほど栄養価が高く健康効果や美容効果が期待できる魚で、生食だけではなく焼き魚やフライ、ムニエルなどさまざまな調理法を楽しめることも魅力です。

メカジキ

たんぱく質を多く含み、脂質は少なめです。リンやカリウムなどのミネラルやビタミンD、ビタミンEを多く含んでいる魚です。特に多く含まれるビタミンEは、抗酸化作用をもち活性酸素の除去に役立つ抗酸化ビタミンと呼ばれています。

酸化から細胞を守るビタミンEの働きによって動脈硬化などの生活習慣病の予防や老化予防への効果が期待できるでしょう。

春が旬な魚の栄養素

それでは次に、春に旬を迎える魚の栄養素について解説していきます。どんな魚があってどんな栄養が含まれているのかをみていきましょう。

マダイ

縁起のよい魚として、古くからお祝いの席でも食べられてきた魚で、脂質が少なくたんぱく質を多く含んでいます。身は透明感のある白身で、淡白な味わいです。熱を通しても身が縮まらず柔らかい食感を楽しむことができます。

鍋やスープ、お茶漬けなどのいろいろな食べ方ができ、皮を炙って香ばしい香りを付けて楽しむ刺身も定番です。

カツオ

カツオは旬を迎えると脂がのって美味しくなる赤身の魚です。薄い皮と柔らかい骨をもち、大きい血合いを持っています。良質なたんぱく質を多く含み、DHAやEPAなどの不飽和脂肪酸は血中脂質を減らして血栓をできにくくする働きがあります。

また、赤身の部分には吸収の良い鉄が含まれており貧血予防に役立つほか、肌の健康を守るナイアシンも多く含まれています。

サワラ

ほっそりとした体形の魚で「魚」偏に「春」と書くほど春にゆかりのある魚です。鮮度の良いときは透明感のある白身をしていますが、鮮度が落ちるとすぐに白濁してしまいます。

味わいは淡白ながらも甘味があり、クセが少ないという特徴があります。皮目をあぶると旨味が重厚になり、胃や心臓などのはらわたも美味しく食べられる魚です。

夏が旬な魚の栄養素

次に、夏に旬を迎える魚を紹介します。どんな魚があってどんな栄養が含まれているのかをみていきましょう。

アユ

体長20cmほどの大きな魚で、きれいな河川や湖に生息しています。鱗や骨はそれほど気にならずそのまま食べることも可能です。身は飴色がかった白身をしており、熱を通しても身が硬くなりづらい性質をしています。天然物よりも養殖の方が脂質は多めです。

ビタミンにおいても天然と養殖では大きな差があり、養殖はビタミンDやビタミンEの脂溶性ビタミンが多く、天然はビタミンB12が多く含まれています。

アジ

アジには多種類存在していますが、代表的なものはマアジです。名前は「味が良い」ことから由来しています。比較的安価で手に入り、惣菜にもよく使われる庶民的な魚で、マアジの場合は大きすぎるものよりも中型のものが美味しいとされています。

マアジの身の色は白っぽいですが青魚に分類されます。アジはたんぱく質や脂質が豊富に含まれており、DHAやEPAなどの補給源となる魚です。

ウナギ

高級魚として知られているウナギはひつまぶしやうな重として食べられています。ウナギの栄養は脂質の含有量が多いこととビタミンAが多いことが特徴です。

ビタミンAは視覚の順応反応に関わったり肌や粘膜の健康を守ったりする働きがあります。日本人はビタミンAの多くを緑黄色野菜から摂取していますが、ウナギは1回に食べる量が多いので効率の良い摂取が可能です。

しかし、ビタミンAは脂溶性ビタミンで身体に蓄積されるので過剰摂取には気を付けなければなりません。

秋が旬な魚の栄養素

次に、秋に旬を迎える魚を紹介します。どんな魚があってどんな栄養が含まれているのかをみていきましょう。

サンマ

サンマは大きな群れを作って回遊しているので一度に大量に獲れます。食用として重要な魚で、冷凍や缶詰を含めると一年を通して見られない時期はありません。生のサンマを食べるなら旬を迎える秋ごろが最もおすすめ。不飽和脂肪酸が多く含まれており、ビタミンDが多く含まれるのも特徴となっています。

サバ

サバは代表的な青魚です。全国でブランド鯖が誕生しており価格の幅も広くなっています。表面の皮は薄く柔らかい骨が特徴の魚です。身は白く血合いは大きめで、身やあらからは濃厚なだしが出ます。脂質の含有量は多く、ビタミンが多く含まれているのが特徴です。

また、血合いの部分には鉄やカルシウムが多く含まれています。

冬が旬な魚の栄養素

最後に、冬に旬を迎える魚を紹介します。どんな魚があってどんな栄養が含まれているのかをみていきましょう。

ヒラメ

特徴的な平らな形をした魚で口が大きく目は横についています。魚をおそって食べる肉食魚です。刺身やカルパッチョなどの生で食べる方法や煮たりムニエルにしたりと加熱して食べる方法があります。

ヒラメは低脂質で高たんぱくが特徴の魚です。肌や粘膜の健康に役立つナイアシンや悪性貧血の予防に有効なビタミンB12が多く含まれています。

ブリ

ブリは産地や時期によって高級魚となりますが、養殖のものは年間を通して安定して購入することができます。

ブリは出世魚で大きさによって名前が異なることも特徴です。ブリにはたんぱく質が多く含まれており、天然物よりも養殖の方が脂が多く含まれています。不飽和脂肪酸のDHAやEPA、代謝をサポートするビタミンB1やビタミンB2も豊富です。

シシャモ

北海道の東部太平洋で獲れる生息地の限られた魚。国産のシシャモは高級品で庶民にはそれほど馴染み深いとはいえません。生で食べるよりも干物で食べるのが一般的です。ししゃもは他の魚と比較してたんぱく質の含有量は少なめですが、骨ごと食べられる魚なのでカルシウムを補給することができます。

魚の栄養を逃さずに摂取できる食べ方

魚にはたんぱく質や不飽和脂肪酸が含まれており、種類によってはビタミンやミネラルも多く摂ることができます。ここではそんな魚の栄養を逃さずに摂取できる食べ方を紹介していきます。

生で食べる

生での食べ方には脂を落とさずにそのまま摂取できるというメリットがあります。生で食べる際に気を付けたいのは、鮮度のよいうちに食べるという点です。特に青魚は鮮度の低下が早いので、新鮮なうちに食べるようにしましょう。

また、生での食べ方はお刺身だけではなくカルパッチョやマリネなどいろいろなものがあります。熱に強い栄養素もありますが、加熱によって壊れてしまう栄養素もあるので、調理による損失を最小限に抑えたいときには生での食べ方を選びましょう。

煮物や汁物にする

ビタミンにはビタミンB群やビタミンCなどの水に溶けやすい性質を持つものも存在します。水溶性の栄養素を逃さずに摂取したいときは、溶け出た栄養素を逃さずに摂取できる煮物や汁物がおすすめです。特に汁物は他の食材も一緒に摂れるので、バランスがよく満足度の高い食事をすることができます。

栄養素をそのまま摂取するためには汁ごと飲む必要があるので、塩分の摂りすぎにならないように注意する必要があります。出汁の風味を活かして調味料を減らすなどの工夫をし、栄養素を効率よくとり入れていきましょう。

蒸し焼きにする

蒸す調理法では油の使用量を減らすことができ、ムニエルや照り焼きなどの調理法よりもカロリーを下げることが可能です。蒸し焼きは蒸し器を使って作るのが理想的ではありますが、なければ電子レンジでも代用可能です。電子レンジ用のスチーマーに魚を並べて蓋をし、火が通るまで加熱するだけです。

不飽和脂肪酸を落とさず栄養素の損失も抑えやすい蒸し焼きは肥満や生活習慣予防におすすめです。野菜と合わせてボリュームたっぷりヘルシーに作って食べましょう。

まとめ

昔ながらの日本の和食には魚が欠かせません。日本は海に囲まれた島国だからこそ美味しい旬を迎えた魚が食べられるのです。魚にはたんぱく質が豊富に含まれており、多く含まれている脂質は血清脂質を低下させるのに働く良質の不飽和脂肪酸となっています。また、種類によってはビタミンDやビタミンEなどの健康に役立つ栄養素が含まれている素晴らしい食材です。いろいろな種類の魚をさまざまな調理方法で楽しみながらとり入れていきましょう。

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この記事を書いた人:片村 優美

保有資格:管理栄養士

フリーランスの管理栄養士として、短大の非常勤講師、webライター、料理家など幅広く活動。
栄養学をもとに、食の楽しさや美味しさの方を重要なものとして捉え、情報を発信。
食の歴史や地域特性、経済と健康の関連など様々な活動を精力的にこなし、現在はローカル版のレシピサイトを運用しており、新しい可能性を模索中。

Twitter:https://twitter.com/katamurayumi 

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