鶏肉の部位ごとの栄養やおすすめの食べ方も管理栄養士が解説!
鶏肉は家庭での使用頻度が高い食材で、唐揚げや照り焼きなどいろいろな料理に使えるので大変便利です。「肉は脂身が気になる…」という方がいるかもしれませんが、鶏肉は皮や余分な脂肪を取り除いて食べることもできるので、他の肉に比べると脂質を抑えることができますよ。
この記事では、鶏肉の部位ごとの栄養の違いやおすすめの食べ方などについて解説していきます。
目次
鶏肉のもつ栄養素と効果とは
鶏肉は大きく分けて胸肉、もも肉、ささみがあります。含まれている栄養素の種類はほぼ同じですが、割合の違いによってカロリーも変わるのです。また、食感や味わいにも違いが出ますので、カロリーなどを知りつつ料理や好みに合わせて選んでいけるとよいでしょう。
部位別にカロリーを見ていくと、最もカロリーが低いのはささみです。その次に胸肉、もも肉となります。このカロリーは脂質の含有量が大きく影響しており、脂質が少なければカロリーも低くなっているのです。できるだけ低カロリーに抑えたい方には、ささみがおすすめです。また、鶏肉には糖質は含まれておらず、主にたんぱく質から構成されています。
鶏肉の脂質は他の肉よりも質がよいとされており、コレステロールや動脈硬化のリスクが低い不飽和脂肪酸のリノール酸を多く含んでいます。健康維持やダイエット中でカロリーを抑えたいときには牛肉や豚肉よりも鶏肉をおすすめします。
たんぱく質
たんぱく質は身体の組織や筋肉を作る材料となる栄養素です。筋肉は基礎代謝と関係しており、筋肉量が減ると代謝は低下しやすくなるので痩せづらくなってしまいます。そのため、健康な状態と要介護状態の中間を表すフレイルの予防にも大切な栄養素です。
鶏肉のたんぱく質は構成している必須アミノ酸のバランスがよく良質のたんぱく質といわれており、体内で利用しやすいのが特徴です。できるだけ低カロリーに抑えながらもたんぱく質を摂取したいときには大変役立ちます。
カルニチン
アミノ酸由来の物質で、身体のほぼ全ての細胞に存在します。エネルギー産生において重要な役割をしており、長鎖脂肪酸という脂質を運搬して燃焼させ、エネルギーを作り出すのです。
さらに、カルニチンは生成された有害な物質をミトコンドリアの外に排出し蓄積するのを防ぐ働きもあります。カルニチンはこのような重要な働きをもち、骨格筋や心筋に多く存在して脂肪酸を燃料としている物質です。鶏肉の場合は特に胸肉に多く含まれています。
ナイアシン
鶏肉に含まれているビタミンのなかで注目したいのがビタミンB群に属するナイアシンです。ナイアシンは皮膚や粘膜の健康を守る栄養素で美容によいといわれるのでアンチエイジングに効果が期待できます。
また、ナイアシンには糖質・たんぱく質・脂質とエネルギーを産生する栄養素の代謝に関わる酵素の働きをサポートする働きもあり、悪酔いの原因となるアセトアルデヒドの分解を助けます。さらには動脈硬化予防やストレス軽減、認知症の予防効果などさまざまな効果があると期待されている栄養素です。
鶏肉の部位と栄養素
鶏肉はよく使われる胸、もも、ささみの3種類のほかに、骨付きの肉もあります。また、内臓系や軟骨など鶏から取ることのできる部位についても含め、栄養的な特徴を見ていきましょう。
モモ
脂質を多く含んでおり柔らかい肉質です。唐揚げや照り焼きなどによく使われます。脂質は100g中14.2gとなっていますが、皮の部分を剥がして食べると約半分程度までカロリーを落とすことができます。ナイアシンは特に豊富ですが、ビタミンKやビタミンB6などもしっかりと含まれています。
ムネ
脂質が少ないので普通に熱を通すとパサパサとした食感となってしまいますが、ゆっくりと熱を通すことでしっとり仕上げることができます。近年人気のサラダチキンも胸肉を使用して作られたものです。また、ナイアシンは胸肉に一番多く含まれており、100gの鶏胸肉を食べれば1日に必要な量をほとんど摂取できます。
ササミ
脂質が少ない胸肉よりもさらに脂質が少ない部位です。100gあたりのカロリーは100kcalほどともも肉の約半分にまで抑えられます。低カロリーかつ高たんぱく食材として、ダイエット中の方やアスリートの方のたんぱく質補給に人気です。
レバー
レバーは肝臓です。レチノールというビタミンAをとても多く含みます。ビタミンAは肌や粘膜の健康を守ったり、暗いところでも物が見えやすくなるような目の反応の働きに関わったりします。
ハツ
ハツは心臓のことで串焼きや網焼きにして食べられます。たんぱく質と脂質を同程度含んでいます。ビタミン類が多く含まれており、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、パントテン酸などビタミンB群が豊富です。
ハラミ
ハラミは鶏の腹筋をさします。1羽から摂れる量は少なく希少な部位です。ハラミは脂質が多く含まれており、もも肉よりも高カロリーです。その他たんぱく質も摂取することができます。
手羽元
骨付きの鶏肉で、そのまま焼いて食べたり、大根と一緒に煮たりする食べ方があります。皮が付いているのでカロリーは高めになりますが、皮付きのもも肉と同じ程度です。他の部位と同様、ナイアシンを多く含みます。
皮
皮には脂質が多く含まれているので肉の部分よりもカロリーは高くなりますが、脂肪分を活かしてカリカリに焼くことでカロリーは落とせます。食欲低下しているときにカロリーをアップさせる必要がある場合などには便利な食材です。
軟骨
脂質は極めて少なく、たんぱく質補給におすすめです。ただ、唐揚げとして使うことが多いので、その場合はカロリーは高くなってしまいます。細かく刻んでつみれなどに加えるとコリコリとしたよい食感が楽しめるでしょう。カルシウム補給としても役立ちます。
新鮮な鶏肉の選び方
鶏肉は水分を多く含んでいる肉なので早いスピードで傷みます。水分が肉の外に出てきやすく、ドリップと呼ばれる赤い汁がパックのシートに染み出しているものは鮮度が落ちている目安となります。
スーパーなどで選ぶときのポイントは、まずは肉の色を確認しましょう。透明感のあるピンク色をしていて表面いハリがある鶏肉は新鮮な証拠です。また、皮には毛穴がついていますが、毛穴は盛り上がっている方が新鮮です。鮮度が落ちると毛穴が潰れてくるので色々と見比べてみましょう。
保存方法
鶏肉は家庭での使用頻度も多いので、安いときにまとめて買っておくと便利です。一度に使い切れない場合は冷凍庫で保存しておきましょう。
冷凍保存するときのポイントは1回に使う量だけを小分けにするという点です。皮を除いたり、一口大にしたりと使いたい料理に合わせて下ごしらえしておくのも良いでしょう。塩を振って全体になじませ、ラップなどで包む方法もあります。下味をつけて冷凍すると使う時に調味する手間が省けるので便利です。
冷凍した鶏肉を使いたいときは冷蔵庫に移して時間をかけて解凍させます。急ぐ場合は電子レンジの解凍モードを使用しても大丈夫です。冷凍させた肉は1ヶ月以内を目安にして使いましょう。それ以上でも可能な場合もありますが、なるべく早めに使うように気をつけるのと、酸化している場合もあるので匂いや見た目など状態を確認することも大切です。
調理するときの注意点
肉の生食は食中毒のリスクがあり、豚肉や牛レバーは生食としての販売が禁止されています。鶏肉に関しては生食用の衛生基準はないのですが流通しているものは全て加熱用です。美味しく安全に食べるためにも、購入した鶏肉は必ず加熱して食べるようにしましょう。
調理する際は中心温度計があると便利です。温度を計るときは大きめの鶏肉を使い、温度計をさして中心部を75℃、1分以上の加熱をする必要があります。ガス火であれば10分弱の加熱が目安です。焼き終えたら切って確認をし、不安な場合は電子レンジなどでさらに加熱をするとよいでしょう。
鶏肉を使ったおすすめレシピ
鶏肉はいろいろな料理で楽しめるのも魅力的なポイントです。カロリーを抑えられるのはもちろん、たんぱく質補給にも最適なのでぜひ日々の献立に鶏肉料理をとり入れてみてくださいね。
鶏肉と野菜の甘酢炒め
ピーマンや玉ねぎ、にんじんなどの野菜と一緒に炒めた酢豚風の料理です。野菜をたっぷりとりながらたんぱく質を摂りたいときに適しています。野菜や人参を一口大の大きさにカットし、ごま油で炒めて甘酢で調味しましょう。酢を使用するのでさっぱりとした口当たりです。
バンバンジー
脂質の少ない胸肉を使った料理です。胸肉を茹でるか蒸すかをしてしっとり仕上げ、千切りのきゅうりやもやしとともに盛り付けます。食べるときはごまだれや醤油だれがおすすめです。油を抑えながら野菜をたっぷり摂ることができるので健康管理にはぴったりです。
まとめ
鶏肉にはたんぱく質やナイアシンが多く含まれていますが、さまざまな部位があり含有量が異なります。脂質が少ないささみや胸肉は低カロリー高たんぱくなので健康管理にも役立ちます。
もも肉や胸肉などの使いやすい部位以外にも、それぞれの栄養の違いを知って摂りたい栄養素に合わせていろいろな料理にとり入れてみてくださいね。
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