アスパラガスは穂先まで栄養たっぷり!栄養を逃さない食べ方を管理栄養士が解説
アスパラガスは、冬の間に養分を蓄えた根から伸びる若い茎を食べる野菜で、春を告げる野菜として人気が高くなっています。
他の野菜にはあまり含まれていない特有の栄養素が豊富に含まれているのが特徴です。
ダイエットや美容はもちろん、疲労回復効果や高血圧・心疾患などの生活習慣病の予防にも役立つ野菜の一つです。しかし、鮮度が落ちるのも早いため、より新鮮な状態でむだなく栄養素を摂ることも重要になってきます。
ここでは、アスパラガスに含まれる栄養素をはじめ、栄養素を効率よく摂るために状態の良いアスパラガスの選び方や調理法についてもお伝えします。
目次
アスパラガスに含まれる栄養素・成分の効能とは?
アスパラガスの約90%は水分ですが、ビタミンやミネラル、他の野菜には含まれていない特有の栄養素が豊富なことが特徴です。「生活習慣病を予防したい」「疲れやすい」「シミが気になる」など年齢とともに増えるお悩みをサポートしてくれます。
アスパラガスにはどのような栄養素が含まれているのかを知り、アスパラガスのパワーを身体に効率よく取り入れていきましょう。
アスパラギン酸
アスパラガスに含まれる、アミノ酸の一種のアスパラギン酸にはさまざまな働きがあります。
1つ目は疲労物質の「乳酸」をいち早くエネルギーに変える働きです。疲労回復には欠かせない栄養素です。
2つ目は、エネルギーを一時的に貯蔵するために作られるグリコーゲンの生成を促す働きです。そのため、食事を摂れないときや運動時のエネルギーとしても働いてくれます。
3つ目は不足しているミネラルを細胞内に運ぶ働きです。尿の合成を促進させるため、むくみの解消やデトックスにも効果的です。
アスパラガスの栄養は、根元よりも穂先のほうが高くなっています。これは穂先の小さな細胞が数多く集まった部分で、活発に生長する部分でもあるからです。
ルチン
特にアスパラガスの穂先に多く含まれているフラボノイド色素の一種「ルチン」は血管の弾力性を保ち、血液循環をスムーズにさせる働きがあることから、脳卒中や動脈硬化などの出血性の疾患の予防に役立ちます。
また、冷え性や肩こり改善にも効果があるとされています。
他にも、活性酸素から体を守る抗酸化作用や、血圧を下げてくれる効果があるため、高血圧の予防も期待できます。
ルチンは、ビタミンCと一緒に摂取することで、さらに抗酸化作用が高まります。まさにアスパラガスは、生活習慣病などの予防に欠かせない野菜といえます。
ビタミン
アスパラガスはビタミンの宝庫。
体内でビタミンAとなり、皮膚や粘膜、目の健康維持に欠かせないβ-カロテンや、糖質や脂質、たんぱく質といった三大栄養素の代謝に欠かせないビタミンB群がたくさん含まれているので疲労回復はもちろん、ダイエットには必要不可欠な栄養素です。
また、細胞の老化を防ぎ、生活習慣病の予防も期待できるビタミンCやビタミンEなど、抗酸化作用が高いものも含まれています。しかしながら、調理法によっては水に溶けだしてしまいせっかくの栄養素が低くなってしまうことも・・・。
そうならないためにも、栄養素を逃さない方法で調理をしたいものです。
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尿酸が高い場合は食べすぎ注意?!アスパラガスにはプリン体が多いって本当?
尿酸は、細胞の遺伝子に含まれている「プリン体」と呼ばれる成分が分解されてできた老廃物で、ほとんどの食べ物にプリン体が含まれています。
本来であれば、腎臓から尿とともに排泄されますが、尿酸が過剰に作られ排泄されにくくなると、血液中の尿酸が増えてしまい「高尿酸血症」と診断されることがあります。
アスパラガスもプリン体の多い野菜の一つですが、プリン体の約8割は体内で生成されていることから極端に食べ過ぎなければ、アスパラガスが原因で痛風になる確率は極めて低いです。また、野菜に含まれるプリン体は肉や魚介類のプリン体に比べると低いので野菜のプリン体は尿酸値を上げにくいとも考えられています。
どのような食材も食べすぎずに、バランスよく食べることが健康への近道ですね。
美味しくて栄養のあるアスパラガスの選び方
栄養たっぷりのアスパラガスですが、せっかく食べるのであればさらに美味しくて栄養価の高いものを選びたいですよね。購入する際には、太さや色、ハカマなどの状態を次のポイントを参考に選んでみましょう。
- 茎が太くてまっすぐ伸びているもの
- 緑色が濃くてツヤがあるもの
- 切り口に変色がなく、みずみずしいもの
- ほどよくしまった穂先のもの
- ハカマ(節)が少ないもの
太さ、形
細い品種のものもありますが、そうでない場合は茎が太いアスパラガスを選ぶことをおすすめします。
茎の細いものに比べて太いアスパラガスは、水分もたっぷり含んでいるのでみずみずしく、やわらかい特徴があります。
また、穂先が全体的に曲がっているものは、鮮度が落ちて乾燥してしまい水分が抜けて細くなっている証拠です。味も落ち、筋っぽくなっているので注意してください。
色
鮮やかな緑色のアスパラガスは、なによりも健やかに育った証。
切り口が乾いていて変色しているものは、収穫より時間が経ち鮮度が落ちているのでなるべく避けることをおすすめします。
また、他にも緑色以外のアスパラガスもあります。ホワイトアスパラガスは、グリーンアスパラガスと同じ品種ですが、日光に当てずに地中で育てたため白くなっています。アクは少なく柔らかいですがその分、栄養価はグリーンアスパラガスに比べると低くなっています。
紫アスパラガスは、視力回復や肝機能向上にも役立つアントシアニンが豊富です。しかし、紫色の皮は加熱すると緑色になるので、色取りとして紫色を取り入れたい場合には調理に注意が必要です。
ハカマ
ハカマとは、褐色で三角の形をした、アスパラガスの節の事です。このハカマの数が少ないアスパラガスは、成長がスムーズに進んでいて新鮮で柔らかく美味しい証拠です。
また、このハカマの形がきれいな三角形であればあるほど、アスパラガスの食感も美味しくなめらかであるといわれています。
アスパラガスの栄養を逃さないおすすめの食べ方
美味しくて栄養もたくさんあるアスパラガスを選んだら、調理の時にもなるべく栄養を逃がさず調理したいですよね。
アスパラガス特有の栄養素などを、むだなく摂取する調理法をご紹介します。
茹でる
一番シンプルな調理法といえば、“茹でる“でしょうか?
しかし、気をつけたいのはアスパラガスに含まれる栄養素が水に溶け出る性質のものが多いということです。
前述した、ルチンやビタミンB群、ビタミンCなどがその栄養素です。これらの栄養素をなるべく逃さないためにも、小さく切りすぎずにサッと茹でることがポイントです。
色鮮やかなアスパラガスを楽しみたい場合には、塩を加えて茹で、茹で上がったらすぐ冷水にとるようにしましょう。
炒める、揚げる
水に溶け出る性質のある栄養素の他にも、アスパラガスには油と相性の良い栄養素β-カロテンも含まれています。
炒めたり、揚げたりすることで水溶性の栄養素が水に溶け出る心配がなく、栄養素を無駄にしないのでおすすめの調理法の一つです。
また、炒めるときにはアスパラガスの食感も残し、熱に弱い栄養素をなるべく壊さないためにも、短時間で調理しましょう。
煮る、レンジで加熱する
栄養素を無駄にしない調理法として、炒めることや揚げることをおすすめしましたが、あまり油を摂りたくない場合やあっさりと食べたい場合には煮ることやレンジで加熱する調理法がおすすめです。
煮てスープとして汁まで一緒に飲むことで、汁にまで溶け出た栄養を余すことなく食べることが出来ます。
また、水溶性の栄養素を逃がさない調理法として電子レンジ加熱もおすすめです。下処理をしたアスパラガスにふんわりとラップで包み、電子レンジで2分ほど加熱します。
時短にもなりながら、栄養素もしっかり摂ることが出来るので忙しいときの調理法としては最適です。
まとめ
アスパラガスにはアスパラギン酸やルチンなど他の野菜にはあまり含まれていない栄養素が豊富で、美容や健康には欠かせない食材です。
茹でてそのまま食べるも良し、吸収が高まるよう炒めるも良し。さまざまな方法で、栄養たっぷりのアスパラガスを楽しんでみてはいかがでしょうか?
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