栄養バランスのよい食事のとり方やチェックの方法を管理栄養士が解説!

「健康のために食事を整えたい」「バランスよく食事を摂りたい」と思っても、いざ始めようと思うと「バランスってなんだろう…?」と疑問に思うことはありませんか?健康的な身体づくりのためには欠かせない食事ですが、簡単なようで難しいものでもあります。ここではバランスよく食事を摂るためのコツやチェックの方法を管理栄養士が解説していきます。

栄養バランスの良い食事とは?

私たちが普段口にしている食品には「栄養素」というものが含まれています。この栄養素の量は各食品によって種類も量も異なっており、いろいろな食品を組み合わせて私たちの食事は成り立っているのです。

厚生労働省は科学的な根拠に基づいて栄養素やエネルギーの摂取量を年齢・性別ごとに分けて基準を設けています。これは「日本人の食事摂取基準」と呼ばれており、施設などで献立を作成するときに使用されることが多いのですが、もちろん日常の生活でもこの考え方を理解しておくことはとても大切です。

食事摂取基準はエネルギーの他にたんぱく質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルの「5大栄養素」と呼ばれる必須栄養素について設定されています。ここで設定された基準を満たしている食事が日本人にとっての「栄養バランスのよい食事」をする目安となるでしょう。

日常生活の中で細かい数字を意識する事は栄養士でもほとんどありません。しかし栄養バランスの整った食事の概念を正しく理解しておけば、頭の中で食事を組み立ててバランスよく食べることができるようになるのです。

栄養素の分類

食品に含まれている栄養素は体の中で重要な役割を担っており、体内での働きは大きく3つに分けられます。

まずエネルギー源となる「熱量素」、体を構成する成分となる「構成素」、最後に身体の機能を調整する「調整素」です。5つの栄養素はそれぞれひとつずつの働きを持っているわけではなく多様な働きを持っています。

例えば、筋肉や臓器などの身体を構成する成分として代表的なたんぱく質ですが、その働きだけではなくエネルギーを作ったり体の機能を調整したりする働きも持っています。

それではそれぞれの栄養素にどのような働きがあるかを見ていきましょう。

糖質

糖質は1gから4kcalのエネルギーを作り出すことができます。糖質はエネルギー源として重要な栄養素で、その他にも血糖値を維持したり核酸や補酵素を合成したりしています。注目したいのは、栄養素のなかで脳のエネルギー源となるのは糖質のみという点です。

また余分に糖質を取りすぎるとグリコーゲンとして貯蔵されます。砂糖や果糖の摂りすぎは肥満や動脈硬化のリスクを上げることで知られており、糖質の代謝にはビタミンB1を一緒に摂取することも肥満予防のポイントです。

1日の摂取量は食事摂取基準では総摂取エネルギーの50〜65%が望ましいとされています。糖質が不足するとエネルギー不足となり、過剰に摂りすぎると肥満の原因となります。あくまでも適量の範囲内で摂取することが大切です。

また、糖質と食物繊維を合わせたものを「炭水化物」と呼びます。炭水化物と糖質は同じものだと捉えられることもありますが、実は細かく見ると異なるということを知っておくとよいでしょう。

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バナナりんごぶどう

脂質

脂質は糖質やたんぱく質とともに重要なエネルギー源です。脂質1gから9kcalのエネルギーを産出します。また、皮下脂肪や細胞膜、核などの身体を作るための栄養素としても重要です。

脂質は代謝にビタミンB1を必要としないので、ビタミンB1を摂らなくてもエネルギーを作り出すことができます。また、胃内での停留時間が長く腹持ちがよいのも特徴です。体エネルギー食に少し用いることで満足感アップに繋がります。

さらに、脂質を構成している脂肪酸は飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の2種類に分けられ、この違いによって油の質が左右されます。例えば、バターやマーガリン、肉の脂身などに多く含まれる飽和脂肪酸は悪玉コレステロールを増加させて動脈硬化のリスクが上昇すると報告されています。 また、オリーブオイルや植物油に多く含まれる不飽和脂肪酸は、血液をサラサラにしたり抗アレルギー作用を持ったりと身体にとってよい作用を与えてくれるのです。

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ナッツアーモンドチーズごま

たんぱく質

たんぱく質はアミノ酸から構成されている栄養素です。1gのたんぱく質は4kcalのエネルギーを算出します。また、たんぱく質は筋肉や臓器、肌、爪、髪、血液など身体のさまざまな部分の構成要素としてとても重要です。さらに、ホルモンや酵素の材料となり、身体の機能の調節もしています。

20種類あるアミノ酸は機能性成分としても注目されており、それぞれが違う効果があるとして美容や健康の場面で役立てられています。アミノ酸という名前が一人歩きして聞かれるようになったので、たんぱく質とは異なるものだと思う方もいるかもしれません。

たんぱく質はアミノ酸から構成されており、それぞれの食品によってアミノ酸の比率が異なるということを抑えておきましょう

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豚肉牛肉鶏肉納豆豆腐ひよこ豆グリンピース

無機質(ミネラル)

ミネラルは無機質と称される成分です。私たちの身体に必須とされているミネラルは多量ミネラルの7種類と微量ミネラルの9種類、計16種類となっています。主要ミネラルにはカルシウムやカリウム、ナトリウムなどがあり、微量ミネラルには鉄や亜鉛、銅が挙げられます。

ミネラルはそれぞれ働きが異なっており、私たちの身体の機能を正常に働かせるために必要です。日本人に特に不足しがちなミネラルはカルシウムで、骨密度の維持や骨粗しょう症の予防には欠かせません。

閉経をするとホルモンのバランスが大きく変動し、骨量は年齢とともに低下しやすくなります。 少しでもこの減少スピードを抑えるためにも、カルシウムの摂取がとても大切だとされています。

ビタミン

ビタミンは水溶性ビタミン9種類と脂溶性ビタミンの4種類があります。水溶性は水に溶けやすく、脂溶性は油に溶けやすいという意味です。 この性質によって水溶性ビタミンは大量に摂取すると必要量以外は尿から排泄され、脂溶性ビタミンは体内に蓄積されるため過剰性を起こすことがあります。

ビタミンの働きには身体機能調整機能が第一に挙げられます。全部で13種類ありますが、それぞれ異なる働きをしているのでバランスよく摂取することが大切です。

例えば豚肉に多く含まれているビタミンB1は栄養素の代謝に関わります。抗酸化ビタミンと呼ばれるビタミンA,C,Eは抗酸化作用を持ち活性酸素の除去や働きの抑制に役立つため生活習慣病の予防などに効果的です。

栄養バランスの良い食事の組み立て方

普段何気なく食べている食事でも少し気をつけるだけでバランスのよい食べ方をすることができます。食事の組み立て方のポイントについて見ていきましょう。

自分に必要な栄養バランスを把握しよう

自分にどのぐらいの栄養が必要なのか知るためには、まず日本人の食事摂取基準を参考にするとよいでしょう。

はじめにすることは、自分にはどのぐらいのカロリーが適しているのかを知ることです。必要なカロリーは年齢や性別活動量によって変わり、例えば50〜64歳の女性で活動量が普通の方は1日の目安として1950kcalが設定されています

次に、このエネルギー量を糖質、たんぱく質、脂質のエネルギー源となる栄養素で配分していきます。糖質は50〜65%(1gあたり4kcalに換算する)、脂質は20〜30%(1gあたり9kcalに換算する)でたんぱく質は体重1kgあたり1gほどの量が目安です

このあたりは個人差があり、体質や持病の有無などによって異なりますのでここでは一人一人に合わせて設定することは難しいことをご理解ください。あくまで考え方の目安として参考にしてくださいね。

また、野菜、きのこ、海藻類の摂取目安量は1日350gとされていますので、3食で割ると1食あたり120g前後となります。必ず守らなければいけないというわけではありませんが、大体の目安として覚えておきましょう。

足りている栄養素とそうでないものを確認しよう

普段の自分の食生活を振り返ると、栄養バランスの偏りに気がつくこともあります。自分の食生活の特徴を知っておくことが改善点を見つけるヒントに繋がるでしょう。

特に多いのが糖質への偏りです。「お腹が満たされればいい」と、ごはんのみ、パンのみのような主食中心の食事をしていると糖質の摂取が多くなります。また、甘いものが好きで間食をよくするという方も糖質過多になっている可能性があります。

また、好き嫌いや偏食傾向の方もご注意です。食べるメニューが決まっていると作るときも買うときも便利なのですが、長期的にみると栄養バランスに偏りが生じます。いろいろな料理を試してみるのも栄養バランスを正していくときのポイントです。

シニアに特におすすめしたい栄養素

近年では「虚弱」を表す「フレイル」の予防に備えて、食事からのアプローチが提言されています。痩せや低栄養状態では要介護状態の方が増えたり、死亡リスクが高まったりすると関連性が示されているのです。

良好な栄養状態を保つための食事において重要なポイントとして、「たんぱく質」の摂取が注目されています。高齢期ではたんぱく質が不足しがちで、肉・魚・卵・牛乳などからたんぱく質をしっかり摂る必要があります。たんぱく質を含め、いろいろな食品の摂取を心がけることで筋肉量や体力の低下を予防できるのです。

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実際の食事の組み立て方・例

食事の基本は「主食・主菜・副菜」の3つを揃えることです。「一汁三菜」「1日30品目」と謳われることもありますが、社会の変化によって食事に時間をかけられない方も多くいます。言葉にとらわれすぎず、まずは自分の可能な範囲でよいので、品数または食品数の多い食事をするように意識してみましょう。

  • 主食
    ごはん、パン、麺類などエネルギー源となる糖質を多く含むもの。
  • 主菜
    肉、魚、卵、豆腐などたんぱく質を多く含むもの。
  • 副菜
    野菜、きのこ、海藻などビタミンとミネラルを多く含むもの。

まずはこの3点を揃えることを意識するだけでバランスのよい食事に近づけられます。細かい数字を気にせず、料理や食品群でみていきましょう。

また、毎食の主菜に使う食材を違うものに変更していくことをおすすめします。それぞれ含まれている栄養素は違うということを踏まえて、朝、昼、夜で「卵、肉、魚」のようにローテーションさせていけるのが理想ですね。

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まとめ

栄養バランスというと難しく聞こえてしまうのですが、ここで解説したようにまずは主食、主菜、副菜を揃えることから始めてみましょう。いろいろな食材をとり入れるだけで摂れる栄養素の幅が広がり、バランスのよい食事に近づけることができます。健康的な身体のためには健康的な食生活が欠かせません。自身の食生活を振り返り、まずはできそうなことから少しずつ改善していきましょう。

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この記事を書いた人:片村 優美

保有資格:管理栄養士

フリーランスの管理栄養士として、短大の非常勤講師、webライター、料理家など幅広く活動。
栄養学をもとに、食の楽しさや美味しさの方を重要なものとして捉え、情報を発信。
食の歴史や地域特性、経済と健康の関連など様々な活動を精力的にこなし、現在はローカル版のレシピサイトを運用しており、新しい可能性を模索中。

Twitter:https://twitter.com/katamurayumi 

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