「親の介護でストレスが限界です…」介護を放棄しないためにできること

親が高齢になってくるにつれて「介護」について考える機会が増えますよね。
「自分には親の介護をする義務がある」と考えてはいても、いざ親の介護ばかりする生活を続けていると

「親の介護を今まで続けてきたけど、もう限界…」

と追い込まれてしまう方がでてくるのも無理はありません。

特に兄弟の仲が悪い、一人っ子である、夫は働いており一人で義母を介護しているなどの理由がある方は介護する際に周囲からあまり協力が見込めず、一人で負担を抱えてしまいがちです。

 

そのような方は「もうこれ以上、親を介護したくない」と放棄することになる前に
一旦冷静に自分と周囲の環境を把握し、介護をしていくうえでの考え方などを知ることが重要です。

親の介護の仕方について見つめ直し、自分と親に向き合ってみましょう。

 

親の介護をするうえで大切な3つの考え方

「これまで真面目に介護を続けてきたけど、もう限界かもしれない…」という方は

まず、介護をするうえで大切な考え方のポイントを意識してみましょう。

ここでは親を介護しながら生活をおくるうえで、介護をする方が大切にしておくべき考え方を3つご紹介します。

自分と親のどちらも尊重しつつ共倒れしないためにとても大切な考え方です。

 

ストレスを1人で抱え込まないようにしましょう

ひとりで孤独に悩んでいる女性
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介護自体そもそも大変なことですが、これまで大きな存在であった親を介護するとなればなおさら誰もが多少なりともストレスを抱えてしまうものです。

そのため、ストレスはどうしてもかかってしまうものであると捉え、いかに1人で抱え込まないようにするかについて考えることが重要です。

介護によるストレスの例

指針的負担の例、身体的負担の例、経済的負担の例

既に介護をおこなっている方は今自分がどれくらい介護に疲れているのかを把握しておくこともストレスを解消する第一歩となります。

チェックシートなどを活用して「介護疲れ度」を確認してみましょう。

 

参考:「介護疲れ」の症状と原因は?早めの対策でストレスを解消しましょう

 

まずは自分の生活を最優先にしましょう

くつろぐ
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親に限らず、介護生活を続ける上で1番大切なことは自分の生活を優先することです。

もちろん親の介護は避けて通れない道ではありますが、だからといって自分の生活や人生をあきらめる必要はありません。

「人様に迷惑をかけるわけにはいかない」

「親を捨てたと思われるから…」

などの理由で介護サービスをあまり使わずに介護をおこなっている方はなおさら改めてこのことを意識しておく必要があります。

 

高齢者の増加や介護サービスや福祉サービスの拡大、労働人口減少による労働力確保の重要性の高まりなどにより、現代では「介護は子供の義務である」という考えも変わってきています。

現在では「親を在宅で介護したい」という方と「安心できる老人ホームに入居させたい」という方の割合がほぼ同等となっています。

 

自分で介護をしないということは介護を放棄することではありません。

親の面倒を親族の中で押し付け合うなどにより関係にヒビが入ったり、1人で頑張りすぎて共倒れしてしまっては元も子もないですよね。

「介護のプロに任せる」ことも立派な選択肢の1つです。

介護をプロに任せることで自分はこれまでと大きく変わらず生活していくことができます。

仕事をしている方は仕事を辞めて公開する必要もありません。

親のために自分を犠牲にすることは親も自分も不幸になる場合があります。

親の介護中心ではなく、自分中心の生活をおくり、お互い笑顔で会えることが1番の親孝行となることを忘れないようにしましょう。

 

参考:仕事と介護の両立は無理?介護離職で後悔しないためにできること

参考:親の介護と認知症に関する意識調査

 

介護は長距離走。長い目で考えましょう

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高齢者が心身ともにしながら健康的に暮らせる期間のことを健康寿命といいます。

この健康寿命と寿命の差の期間、高齢者は介護を受けながら生活することになります。

つまり、介護をおこなう期間は約5~15年が一般的な目安であるといえます。

健康寿命と平均寿命の推移のグラフ

出典:内閣府「高齢化の状況」

目の前のことだけにとらわれて短期的に考えて介護をおこなってしまった場合、身体的負担、精神的負担が大きくなってしまいがちです。

そうして介護に疲れてしまった結果、介護放棄や共倒れなどを引き起こしてしまう可能性があります。

そのため介護は常に長い目でみて、長期的な計画をするようにしましょう。

長期の介護を行うにあたって考えておくべきことの例

  • 介護を受ける側だけでなく、介護する側の心身は耐えられるか?
  • 長期的に必要となってくる費用はどこでまかなうのか?
  • 毎月いくら程度であれば支払いが可能なのか?

 

親の介護をするための5つの準備はできていましたか?

やることリスト
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ここまでは、親の介護をおこなう時に意識しておくべき考え方と介護の仕方についてまとめてきました。

ですが果たして「親の介護が始まる前に確認しておくべきこと」はしていたのでしょうか?

既に介護をおこなっているという方は改めて5つのポイントを抑えられているか、ここでもう一度振り返ってみましょう。

 

1.介護保険を含め、どのような保険に入っているかを確認する

親の介護が始まる際に気になることの1つが「お金」についてですよね。

介護をするとなるとさまざまな面で費用がかかってきます。

費用を少しでも抑えたい場合には加入している保険があるかどうかを確認しておくことはとても大切です。

介護保険はすべての国民が40歳になった月から加入する保険で、保険料の支払い義務を負う社会保険の一種です。介護が必要になった際に利用することができます。

また、年齢が上がるにつれて介護が必要というだけでなく病気にかかるリスクも高くなります。介護保険だけではなく、その他の保険についても確認しておきましょう。

参考:介護保険を利用できる年齢はいつから?支払いは?例外まで徹底解説!

 

2.親の介護状況を確認し、必要であれば要介護認定を受けておく

親が介護保険の被保険者でかつ65歳以上であれば、容体によって要介護認定を受けることができます。

※例外として65歳未満の場合でも特定疾病を持つ40歳以上の方であれば要介護認定を受けられます。

そして、要支援者もしくは要介護者として認定された場合には介護保険の適用を受けることができます。

介護保険が適用されると介護給付金の範囲内で公費での費用補助がうけられるため、サービス利用者は介護保険サービスの利用に際してかかる費用のうち1~3割の支払いをおこなうことになります。

参考:【介護入門】よくわかる要介護認定!|申請窓口や代行方法も記載!

参考:【図解】介護保険の申請方法まとめ【要介護申請からサービス利用まで】

 

3.介護保険が適用されるサービスを把握しておく

介護保険が適用されるサービスにはさまざまなものがあります。

特に在宅介護をおこなっている場合に利用できるサービスはたくさんありますので、サービス内容を把握してケアマネジャーと相談しながら介護状況に合った適切なサービスを利用していきましょう。

以下は介護保険が適用されるサービスの一覧です。

施設に入居して受けるサービス

  • 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム:特養)
  • 介護老人保健施設(老健)
  • 介護療養型医療施設(療養型病床)
  • 介護医療院
  • 介護付有料老人ホーム(特定施設入居者生活介護)
  • サ高住(特定施設入居者生活介護)
  • ケアハウス(特定施設入居者生活介護)
  • 養護老人ホーム(特定施設入居者生活介護)
  • 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)

短期入所サービス

  • 短期入所生活介護
  • 短期入所療養介護

訪問サービス

  • 訪問介護(ホームヘルプ)
  • 訪問入浴介護
  • 訪問看護
  • 訪問リハビリテーション
  • 居宅栄養管理指導
  • 定期巡回・随時対応型訪問介護・看護
  • 夜間対応型訪問介護

通所サービス

  • 通所介護(デイサービス)
  • 通所リハビリテーション(デイケア)
  • 療養通所介護
  • 認知症対応型通所介護
  • 地域密着型通所介護(小規模デイサービス)

複合型サービス

  • 小規模多機能型居宅介護
  • 複合型サービス(看護小規模多機能型居宅介護)

日常の暮らしを支えるサービス

  • 居宅介護支援
  • 福祉用具貸与
  • 特定福祉用具販売
  • 住宅改修

これらが具体的にどのようなサービスであるかについてより詳しく知りたいという方はこちらの記事を参考にしてください。

参考:介護保険が適用されるサービスの種類|利用する際に抑えたいポイントとは?

 

4.親の所得、資産、貯金を把握しておく

親の介護を行う際には、親のお金(年金、資産、貯金など)の範囲内で介護にかかる費用をまかなうことが理想です。

そのため介護が始まったときに親のお金は家族で預かるという場合が多いです。

通帳などは早めに親から預かっておき、家族で管理をすることをおすすめします。

 

しかし親のお金だけでは費用が足りないという場合もあり、その時は家族での経済的負担が必要となります。

どうしても親のお金で支払える範囲内に収めたいという方は利用するサービスの見直しをおこないましょう。

ただし介護保険サービスの利用費が高くて支払えないという場合は、世帯所得や貯金額などに応じて負担を軽減できる制度の対象となる可能性があります。

つまり支払い費用の工面については以下のような順序で考えていきましょう。

①まず親のお金を知る。

②その範囲内で収まらないときは家族で負担をする。

③費用が高くて支払えない場合はサービスを見直す、もしくは費用の軽減制度を調べる。

 

5.介護について相談できる場所を確保しておく

親を介護するということはほとんどの方にとって初めての経験といえるでしょう。

そのため介護生活をおくるうえで戸惑うことが多いというのは当然のことです。

そこで介護をするうえで大切なのは責任や悩み、ストレスを1人で抱え込まないことだと言えます。そこで介護について理解がある方に相談できる環境があるかどうかがとても重要になってきます。

親族のなかに親の介護に関して協力的な方がいることが1番いいですが、なかなかそういうわけにもいかず、親族間でトラブルが起こってしまっているのが現実です。

そのため、介護について相談できる窓口をきちんと把握しておくことが大切です。

介護について相談できる場所の例

  • 周囲の人々
  • ケアマネジャー
  • 市区町村の介護保険の窓口
  • 地域包括支援センター
  • 介護者が集う交流会、カフェ

参考:【専門家監修】いいケアマネジャーの選び方をご紹介!もしもの変更方法もまとめました!

 

介護の仕方には主に3つの選択肢があります

選択肢
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介護の仕方は生活スタイルや親との相性など人によって変わります。

おもな介護の仕方は「在宅介護」「遠距離介護」「施設介護」の3つです。以下ではそれぞれの特徴ついて説明していきます。

 

在宅介護

在宅介護は自宅で親を介護するという選択です。

親からすればこれまで住み慣れた自宅であったり、昔からよく知っている親族の居宅などで暮らせるという安心感は大きいでしょう。

介護をする側としても常に親の心身の状況が把握できるなどのメリットがあります。

在宅介護をおこなう場合はまず要介護認定の申請をしましょう。

要支援や要介護の結果が出れば介護保険制度を利用できるようになります。

自宅で介護をする場合、訪問サービスや通所サービス、短期入所サービス、いくつかのサービスが一体となった複合型のサービス、日々の暮らしを支える福祉用具の貸与など、さまざまな介護サービスを受けることが可能です。

家族による介護だけでなく、介護保険サービスを利用してケアマネジャーや介護事業所のスタッフと相談しながら親の介護について向き合っていくことが大切です。

また、在宅介護においては日頃介護をしている方がストレスを感じやすいため、レスパイト(休息)が特に重要となってきます。

通所サービスや短期入所サービスをうまく活用して自分や家族の時間もしっかり確保していくという目的も含めて、利用できるサービスはどんどん利用していきましょう。

参考:介護には休息も必要!在宅介護を支えるレスパイトケアとは?

 

遠距離介護

遠距離介護は仕事や結婚などの都合で親と離れて暮らしている方が、これまでと同じ距離(遠距離)のまま介護するという選択です。

遠距離介護をおこなう場合はお互いが居住環境を変えずに暮らし続けることができ、親ともこれまでどおり適切な距離感を保ちやすいです。

ただし親の心身の状況が把握しにくいという欠点もあります。

そのため、親と頻繁に連絡をとるようにすることはもちろん、通常の介護保険サービスに加えて安否確認サービスや配食サービスなどの見守りサービスを利用することをおすすめします。

また、遠距離介護は金銭的コストに加えて時間的コストも大きくかかってくるため、行ける頻度にも限りがでてきます。

そのためケアマネジャーや親の居宅の周辺に住む方々などとの信頼関係をきちんとつくっておくようにしましょう。

参考:迷う前に読む!初めての人にもわかりやすい遠距離介護の解説

 

施設介護

親に老人ホームへ入居してもらい、施設のスタッフに親の日常生活の支援を任せるという選択です。

見守り環境の整った施設のなかでプロに介護を任せることができるため、在宅介護や遠距離介護に比べて介護にかかる負担が大幅に軽減されます。

例えば、これまで夜間に家族へ行き先を伝えないまま外出し道に迷ったり、何度も家族を呼び出したり…夜も安心して眠れないと悩まされていた方はぐっすりと眠ることができます。

家族で一緒に過ごす時間は減ってしまうものの、近い距離で生活することで感じるストレスが無いため適切な距離間を保つことができ、優しく接する余裕も持てるようになります。

ただし老人ホームは利用者の要介護度や容体などによって入れる施設が異なる場合がありますので注意が必要です。

老人ホームにはどのような種類があるの?どの施設に入ればいいの?という方は以下の記事を参考にしてください。

参考:【全7種類】費用や特徴を比較した老人ホーム種類別まとめ|選び方ガイド付き

参考:【身体状況別】あなたが入居可能な老人ホームをご紹介

参考:【間違えてはいけない】良い老人ホームの見分け方|チェック項目でポイントを抑えよう!

 

まとめ

親の車椅子を押す子ども
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親が生きていてくれる限り、どのような形であっても介護をする必要があります。

健康寿命と平均寿命が短い場合を除き、介護は長期戦です。

どんなに親に恩義を感じていても、一緒に過ごしてあげたいと思っていても、介護しながら生活することはたいへんなことであるということに変わりはありません。

介護をする側が心身の負担によって追い詰められ人生を棒にふることにならないよう、頼れるところはとことん頼ることが大切です。
親から「あなたの人生なのに、世話ばっかりさせてごめんね」と言わせないような介護生活を目指していきましょう。

監修者:陽田 裕也

監修者:陽田 裕也監修者:陽田 裕也

資格:社会福祉士 生活相談員 介護福祉士 介護支援専門員
2001年介護福祉士の養成校を卒業と同時に介護福祉士を取得、翌年には社会福祉主事任用資格も取得した。 2002年から特別養護老人ホームで介護職員として勤務しており、その後、同一施設内で生活相談員や施設ケアマネジャーなどを経験しながら社会福祉士の国家試験に合格した。 現在は副施設長を兼任し生活相談員として相談援助に携わっている。 今後は権利擁護への知見を広げるため、成年後見人養成研修にも参加予定である。