良い老人ホームの見分け方 | ケアマネが紹介する5つのコツとは

「親の病気や今後の介護に不安があるから専門スタッフに任せたい」

「仕事との両立でなかなか実家に帰省することができない」

など、さまざまな理由を持つ方の代わりに親の日常生活を支えてくれる老人ホーム。

ただ、「親を老人ホームに入居させようと思ってるけれど、最近はニュースでもよく施設で起こったトラブルが報道されたりしているのでとても心配…。」と悩んでおられる方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで、この記事では「せっかく入居するのであれば良い老人ホームに入居させてあげたい」という方のために、老人ホームを選ぶ際に気をつけるべき注意点や良い老人ホームを選ぶコツなどをまとめていきます。

さらに記事の後半には、「老人ホームを選ぶ際に役立つチェックポイント」も紹介していますのでぜひ参考にしてください。

良い老人ホーム見分ける5つのコツ

©hikastock/stock.adobe.com

どうすれば良い老人ホームを選ぶことができるのでしょうか。

ここでは、入居者本人も入居者の家族も納得し、安心して利用できるような老人ホームを見つけるコツを紹介していきます。

 

評判の良い老人ホームを選ぶ

まず最初に気にするのは地域や老人ホームの情報サイトでの評判です。口コミからその施設がどのような雰囲気なのか、どういうサービスを提供しているのかという新鮮な情報を得ることができます。

情報サイトの口コミが信用できない、周りから老人ホームの評判を聞くことが難しいという方はケアマネジャーさんなどに相談してみるのもいいでしょう。

 

複数の老人ホームを比べましょう

老人ホームへの入居を検討する際は複数の施設を比較して調べることが重要です。

老人ホームと一概に言ってもその種類にはさまざまなものがあります。老人ホームにはどのような種類があるか知りたい方は以下の記事を参考にしてください。

また、同じ種類の老人ホームのなかでも各施設によってサービス内容や費用の内訳、施設設備などが異なり、それぞれ特色があります。

1つ目の施設で「とてもいいところ!費用も想定していた金額より少ないし、思っていたより施設の設備も豊富そう!」と思っても他の施設を調べてみることで、「こっちはスタッフの方が皆さん親身になって話を聞いてくれる!1つ目より少しだけ費用が増えるけど、料金体制もしっかりしているしこっちにしようかな…」といった選択ができるようになります。

複数の施設の運営方針やサービス内容、重要事項説明書の内容、スタッフの雰囲気などを比べて、自分たちが何を重視するかを考えながら施設選びをしましょう。

 

見学や体験入居で老人ホームの雰囲気を知る

老人ホームの運営方針やサービス内容、費用などについて説明を受けた段階では「とても合っている老人ホームだな」と感じていても、実際に老人ホームの様子を見てみないことには本質的なところをは見抜けません。

そのため、いざ体験入居をしてみたらホームの雰囲気が良くなかったり、スタッフに笑顔がなく対応が悪かったり…。

このように、入居契約前に見学や体験入居をしておくことで「あのまま入居を決めなくてよかった」と自分たちと合わない老人ホームを回避することができます。

気になるすべての施設に体験入居ができればいいですがそういうわけにはいきません。

実施していない施設もありますし、何よりも高齢者にとっては身体的・精神的負担も大きいです。

事前に施設の雰囲気を知っておくことは老人ホーム選びにおいてとても重要なポイントです。

気になったところには見学に行き、その中で特に気になった老人ホームで体験入居をするようにしましょう。

 

契約手続き・契約内容をしっかり確認しよう。

入居後に1番トラブルとなりやすいところがこの費用についての項目になります。

老人ホームのなかには契約書や重要事項説明書の内容説明をほとんどせずに、押印やサインを求めてくる施設があります。

入居契約の際、一方的に押印やサインを求めてくる施設にそのまま入居した場合、入居後にトラブルになる原因となります。

そのため、「たくさん書類があって目を通す時間なんてない!」

という方でも入居契約書、重要事項説明書、管理規定の3点については十分な時間をかけて内容を理解することがとても大切です。

分からない箇所があった場合には老人ホームに相談・確認し、しっかりと入居者本人と入居者の家族が納得したうえで契約を交わしましょう。

特に重要事項説明書には費用をはじめ、サービスやスタッフの勤務体制など、入居に際して老人ホームが決めている契約内容について項目ごとに記載されています。

入居後に不測の事態を招かないためにも、特に注意して内容を把握する必要があります。

どのような点に気をつけて書類を確認すればいいの?という方はぜひこちらの記事をチェックしてみてください。

 

ダメな老人ホームに注意!NG老人ホーム5選

©tamayura39/stock.adobe.com

 

施設を探して、手続きをして、やっと一段落ついたと思ったのに

「自分の親が入居している老人ホームの環境が最悪!トラブルばっかり起こるし、思っていたのと全然違う!」となってしまったら困りますよね。

そうなる前に入居するとトラブルになる可能性がある老人ホームについて知っておく必要があります。

以下では施設を選ぶ際に注意しておきたい老人ホームの特徴をご紹介します。

 

ホームページに情報がのってない

「問い合わせをしたいのに、ホームページを見ても全然分からない…」といったように、施設についての情報があまり公開されておらず、責任元がはっきりしていない施設は要注意です。

最近では施設についてのホームページを開設している老人ホームが主流になってきています。そのため、老人ホームの情報を知りたいという場合には老人ホームのホームページを検索することで情報を得ることができます。

しかしながら、老人ホームの中にはホームページはあるものの、施設を運営する本社の住所や代表者の名前、連絡先が記載されていない場合や、費用などの具体的な情報を載せていないところがあります。

そのため入居を検討している老人ホームがありましたら、その施設のホームページを確認してみましょう。

 

口コミの評判が悪い老人ホーム

インターネットの掲示板で悪評が流れていたり、地域での評判が悪い老人ホームの情報は事前に入手しておくことが大切です。

介護保険制度が適用されている施設であれば都道府県や市町村からの監査を受けており、その結果は公開されています。

そのため、インターネットで『〇〇荘(探したい施設) 監査』等と検索することで自治体のホームページからその結果を見ることができます。

老人ホームが開設しているホームページ上で施設について良くない部分が書かれていることはまずありません。

そのため、「ホームページを見たけど内装もキレイそうだし、入居者の笑顔の写真が多いし、良さそう!」と思っても実際の口コミ情報は最悪…という場合はたくさんあります。

施設のホームページやパンフレットの情報だけではなく、実際の利用者の声にも耳を傾けることが重要です。

 

スタッフへの教育が行き届いていない

スタッフの教育については「各分野におけるサービスの質に関すること」「接遇に関すること」にわけられます。

スタッフが十分な介護研修を受けておらず介護サービスの質が低い場合、本人家族ともにサービスに不満が募りますし、何より事故につながる可能性が高いといえます。

専門的な知識を持つスタッフによるケアが必要な方にとって介護の質は特に重要であるといえます。

そのため介護サービスを提供する施設であるにも関わらず勉強会や研修制度を全く設けていないような老人ホームは危険です。

勉強会や研修制度についてはホームページ上で公開されていないことが多いですが、通常であれば老人ホームのスタッフに尋ねると具体的にどのうな研修等が行なわれているかを知ることができます。

特に、高齢者虐待、介護事故(リスクマネジメント)、身体拘束、コンプライアンスについてはどのように教育されているか注目しておきましょう。

老人ホームは事業計画書を作成していますので、それに研修や勉強会の計画が記載されている場合があります。そのため「事業計画って見せてもらえますか?」と尋ねる方法もあります。

またスタッフの態度が悪い場合は、施設入居者や入居者の家族に不満やストレスが溜まり、トラブルが発生する原因となります。

入居している家族に会いに来たのにスタッフが挨拶もせず素通りするような老人ホームに大切な家族を預けるのは不安ですよね。

スタッフの介護スキルはさることながら、「親の体験入居の付き添いできたけど、スタッフの服装に清潔感がないし、態度はでかいし、言葉遣いもなってない!」と感じた場合には違う老人ホームを探しましょう。

 

スタッフの入れ替わりが激しい

老人ホームの見学や体験入居に行った際に「この間は働いていたスタッフが辞めて、新しい人が働いてるな」と気がついた時は、一旦その老人ホームで働くスタッフに平均勤続年数や離職率を聞いてみましょう。

良い老人ホームであればしっかりと質問に答えてくれるはずです。反対に、なんとなく話を濁すといったような施設はあまり信頼できませんよね。

これらは一見利用者には関係ないようにも思われますが、老人ホームの環境や雰囲気が悪いことがスタッフの入れ替わりが早い原因である可能性があります

老人ホーム全体の雰囲気が悪く、スタッフ同士の仲が悪いといった場合には入居者の情報がうまく共有されていないといったようなことから介護サービスの質が低下していたり、トラブルが発生している危険性があります。

 

契約手続きを急かし、十分な説明をしない

入居契約の説明もそこそこに前払い金の支払いを迫られたら特に注意が必要です。

老人ホームに入居した後にトラブルとなる1番の原因は「契約内容の説明不足」です。

そのため、重要事項説明書や管理規程について十分な説明をせずに、すぐに手続きにうつるような老人ホームでは、入居後にトラブルが発生してしまう可能性が高いです。

突然月額費用があがっていたり、契約解約時に帰ってくるお金が予想よりも極端に少なかったり「えっ、なんでこうなっているの?」といった思いがけないことが起こってしまいます。

このような事態にならないためにも、入居者本人と入居者の家族がしっかりと老人ホームとの契約内容を確認し、疑問や不安を解決したうえで入居契約を結ぶことが重要です。

 

あなたは何が大切?老人ホームを選ぶ際に確認しておきたいポイント

「老人ホームを選ぶ際に確認しておきたいポイント」を説明する女性

ここまでは入居すると危ない老人ホームと良い老人ホームを見分ける方法をまとめてきました。

では、良い老人ホームとはなんでしょう?それは入居者本人や入居者の家族の希望に合っている老人ホームだといえます。

ここからは、入居後に後悔しないために、老人ホームを選ぶ際のチェック項目をご紹介します。ぜひ老人ホームを選ぶ際のチェックシートとしてご活用ください。

たくさん項目があるため、優先順位の高い項目を決めたうえで、それぞれの老人ホームがは自分たちにあっているのかどうか判断していきましょう。

 

運営体制について

運営体制は老人ホームの根幹となるものです。どのような事業者がどのような方針で老人ホームを運営しているのかを確認しておきましょう。

  • 事業理念は?
  • ホームページやパンフレットに責任元の記載があるか?
  • ホームページやパンフレットに具体的な費用の記載があるか?
  • 自治体による監査の結果を公表しているか?
  • 協力医療機関はあるか?またどこの医療機関か?
  • 財務情報などの開示をおこなっているか?
  • 損害賠償責任保険に加入しているか?
  • 見学や体験入居をおこなえるか?
  • 事業主体は公的機関か民間企業か?

(事業主体や経営母体が民間企業の場合)

  • 介護を主体としている企業か?
  • 介護事業の実績はどうか?
  • 経済的に安定しているか?倒産の可能性は無いか?

立地について

家族が離れて暮らすことになる場合、老人ホームへの通いやすさは1つの大切な指標です。

  • 住み慣れた土地にあるか?
  • 駅からの距離は?
  • 公共交通機関を利用して通えるか?
  • 入居者の家族などが利用できる駐車場はあるか?
  • 施設の周辺は坂道が多くないか?

 

施設設備について

施設内が入居者にとって安心してストレス無く住める構造となっているかを確認しましょう。事前の確認が、入居後の転倒防止にも繋がります。

  • 施設内が整理整頓されており、清潔に保たれているか?
  • 排せつなどのにおいに対して除去する取り組みがされているか?(空気清浄機の配置など)
  • 老人ホームの施設内にはどのような設備が備わっているか?
  • トイレや浴槽は共同か?
  • 共有スペースはあるか?
  • 居室のタイプは?(個室や多床室、ユニット型個室など)
  • 居室の広さは?
  • 居室が設けられている階数は?
  • スタッフの待機室などが居室の近くにあるか?
  • エレベーターは付いているか?
  • 車椅子でも移動できるか?
  • バリアフリー構造か?

スタッフについて

サービスを提供してくれるスタッフとは関わる機会がとても多いです。どのような職種(介護士や看護師、栄養士など)のスタッフがいるかだけではなく、親しみやすさや態度なども含めて入居前にチェックしておきましょう。

  • その老人ホームで働いているスタッフの総数は?
  • 日中常勤するスタッフの人数は?
  • 夜勤のスタッフの人数は?
  • 休日のスタッフの人数は?
  • 資格をもつスタッフがいるか?それはどのような資格か?
  • スタッフの離職率は高くないか?
  • 同じスタッフが長く働いているか?
  • 契約時に施設長による挨拶があったか?
  • 笑顔でいきいきと働いているか?
  • スタッフの態度や言葉遣い、身だしなみが悪くないか?
  • スタッスの研修や勉強会をおこなっているか?

契約や契約解除について

契約をおこなううえで老人ホームの対応もみることができます。契約内容についてだけでなく、「この老人ホームはしっかり対応してくれる老人ホームか?」という点にも着目しましょう。

また、この項目は老人ホームとの入居後のトラブルにもなりやすい項目です。
しっかりと自分の目で契約内容を確認しておきましょう。

契約について

  • 重要書類(入居申込書や重要事項説明書、管理規定など)について詳しい説明がされているか?
  • 契約時は時間をかけて慎重におこなわれているか?
  • 契約の形態は?(利用権契約や賃貸借契約など)
  • 入居条件は?

契約解除や退居について

  • 退居条件は?
  • 退居勧告を受けてからの退居期間はどのくらいか?
  • 解約する場合の手続き方法が契約書に記載されているか?
  • 解約する場合の予告期間はどのくらい必要か?
  • 社会通念上明らかにおかしいような解約条件はないか?

契約終了時について

  • 原状回復の範囲は?
  • 月額費用の精算方法は?
  • 前払金の返還金の計算方法は?

費用について

入居後に1番トラブルとなりやすいところがこの費用についての項目になります。特に注意して1つ1つチェックしていきましょう。疑問は疑問のままにしておかないことが重要です。

  • 前払い金は必要か?費用は?
  • 前払金の内訳は?(敷金、入居一時金など)
  • 前払金について保全措置は講じられているか?
  • 月々の固定費用はいくらか?
  • 食費は月額費用に含まれているか?
  • 追加費用がかかるものにはどのようなものがあるか?
  • 自己負担が必要な費用について説明は詳しくされているか?
  • 通帳や印鑑の預け入れを義務化していないか?
  • 現金を預けた場合、何に利用したかの報告があるか?
  • 入居後に月額費用が値上がりすることはあるか?どのような場合か?
  • 利用できる費用の軽減制度はあるか?

サービスについて

入居希望者にとって必要なサービスの提供が備わっている施設か確認しましょう。例えば、認知症の方や医療的な支援を受ける必要がある方などその方の特性に応じた対応がおこなえる施設を選ぶ必要があります。

  • 生活支援サービスのみか?介護サービスの提供もあるか?
  • 介護保険は適用されるか?
  • サービス加算体制はあるか?どのようなものか?
  • サービスの希望はできるか?
  • 機能訓練(リハビリテーション)はおこなっているか?頻度は?
  • レクリエーションはおこなっているか?頻度や内容は?
  • 認知症ケアを実施しているか?
  • 医療的な支援を受けられるか?
  • 看取りはおこなっているか?
  • 食事は提供されるか?メニューはどのようなものか?
  • 外部の介護サービスは利用できるか?
  • 病状が急変したときの対応は?
  • 悪質性の高い身体拘束を実施していないか?
  • サービス提供時に発生した事故の責任は?

他の入居者について

老人ホームでの生活の様子をイメージする際にとても重要な判断基準になります。

また、合わないと感じる他の入居者がいた場合は入居後のトラブルに発展しやすいため注意が必要です。

  • どのような性格の入居者が住んでいるか?
  • 入居者の平均年齢は何歳か?
  • 入居者の男女比は?
  • 入居者の要介護度はどのくらいか?
  • 共有スペースなどでの雰囲気はどうか?
  • 入居者の表情に生気があるか?
  • 入居者間でトラブルが発生した際はどのような対応がなされるか?

施設外の人間との連絡・交流

老人ホームで日々生活している入居者はどうしてもコミュニティーが狭くなってしまい、外界との交流が薄くなりがちです。

他者との交流の機会は高齢者が社会で自分らしくいきいきと暮らすためにも大切です。老人ホームで行われている交流イベントはあるかどうかも確認しておきましょう。

  • 家族との面会はどのようにおこなえるのか?
  • 面会に時間的な制限はあるのか?
  • ゲストルーム(宿泊可能な場所)はあるのか?
  • 外泊は可能か?外泊申請はいるのか?
  • 意見箱の設置のような、日頃から家族の要望を聞く体制はあるか?
  • 運営懇親会はあるのか?年に何回開催されているのか?
    ※運営懇親会とは、老人ホームの事業者や入居者本人、入居者家族などが参加し、老人ホームの現状やサービス内容の説明をおこなうとともに、老人ホームの運営について質問や意見を交換するなど、話し合いをおこなう会です。
  • 苦情の申し出先について提示されているか?対応方法はどのようか?
  • 緊急時の連絡が適切におこなわれる体制はがあるか?
  • 地域住民との交流の機会はあるか?

参考:入居希望者・事業者向け 入居契約チェックリスト

まとめ

「老人ホームの種類もチェックする項目も多すぎて分からない!」という方はここだけは外せないという項目を選んでおきましょう。

それだけでも自分に合った良い老人ホームを選べる可能性が高くなります。

また、絶対に外せない項目をつくっておくことでケアマネジャーさんにも相談しやすくなります。

ぜひ大事なポイントを抑えて、それぞれにあった良い老人ホームを探していきましょう。

ヒトシアで老人ホームを探す

監修者:陽田 裕也

監修者:陽田 裕也監修者:陽田 裕也

資格:社会福祉士 生活相談員 介護福祉士 介護支援専門員
2001年介護福祉士の養成校を卒業と同時に介護福祉士を取得、翌年には社会福祉主事任用資格も取得した。 2002年から特別養護老人ホームで介護職員として勤務しており、その後、同一施設内で生活相談員や施設ケアマネジャーなどを経験しながら社会福祉士の国家試験に合格した。 現在は副施設長を兼任し生活相談員として相談援助に携わっている。 今後は権利擁護への知見を広げるため、成年後見人養成研修にも参加予定である。