老人ホームからの退去勧告で慌てないために知っておきたいこと

有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅では、要介護度が上がり自力での生活が難しくなった場合や、認知症が進行して他の入居者に危害を加えてしまうと判断された場合、施設では対応できない医療の処置が必要になった場合には入居者に退去勧告を出す場合があります。この記事では退去勧告をされた際にどのように対応するべきか、どのような状況になると退去勧告が出されるのかについて見ていきます。

退去勧告を受けてから実際に退去するまでの期間はおよそ3か月

がっかりしている高齢者

@metamorworks/stock.adobe.com

施設に退去するよう言われたとしても、すぐに退去しなければいけないということはありません。

一般的には90日間の期間を設けていて、その間に次の施設を探したり、自宅での在宅介護の体制を整えることができます。実情として一方的に退去してほしいといわれることは少なく、施設の生活相談員が次に入居する施設や在宅サービスを受けるために必要なケアマネジャーを紹介してくれるケースが多いです。そのため、困ったことがあれば、まずは施設に相談することがおすすめです。

入居し続けることが難しい場合には、ショートステイを行っている施設に一時的に入居するか、ケアマネジャーに相談してケアプランを作成し、介護保険サービスを利用しながら自宅に戻って施設を探す必要があります。

退去勧告に強制力はある?

診断をしている場面

@Viacheslav Iakobchuk/stock.adobe.com

老人ホームからの退去勧告に強制力があるかどうかは場合に寄りますが、入居時の契約の際に退去要件に該当する理由が記載されていた場合には従う必要があります。

契約書に書いてある内容に該当するかどうか判断が難しく、退去に納得がいかない場合には裁判所に申し立てをすることや、契約時に渡される「重要事項説明書」に記載されている第三者の対応窓口に相談することができます。主に相談窓口となるのは、自治体の介護保険の相談窓口や都道府県の国民健康保険団体連合が該当します。

ただ、裁判でも外部の窓口に相談した場合でも、調査に時間がかかることは留意しておきましょう。

このような状況になるのを避けるためにも入居時には退去要件をよく確認しておく必要があります。

入居一時金は償却しきっていなければ返還される

有料老人ホームやグループホームでは入居の際に入居一時金がかかる施設がありますが、退去する際にその入居一時金の一部が返却される可能性があります。

入居一時金は施設ごとに償却期間が定められており、施設に入居している期間が長ければ長いほど償却されていきますが、退去する際に未償却の金額がある場合には返還する制度があります。施設によって償却制度は異なるため、契約書や重要事項説明書を確認してみましょう。

老人ホームから退去勧告を受ける可能性のある3つのケース

3つのポイント

@New Africa/stock.adobe.com

老人ホームからの退去勧告は施設ごとに定められている退去要件を参照して行われます。そのため一概に言えるわけではありませんが、一般的に退去勧告される可能性があるケースを3つ見ていきましょう。

1.身体状況が変化し、入居基準に該当しなくなった場合

入居中に認知症の進行や体が弱って要介護度が上がってしまった場合や、入居後のリハビリや機能訓練によって要介護度が下がり、施設の入居できる基準から外れてしまった場合には、退去しなければならない可能性があります。

例えば、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅のように基本的に自立~軽度の要介護者を対象にしている施設では、要介護度が上がった場合に退去しなければならないケースがあります。

また特別養護老人ホームでは入居条件が原則要介護3以上の方に限定されているため、要介護度が下がった場合には退去勧告を受ける可能性があります。このような場合には施設に併設されているショートステイを利用するか、特例入所と呼ばれる要介護3未満であっても、家庭の状況などにより特養に入居できる制度を使うことで入居し続けることができます。

2.認知症が進行し、他の入居者に迷惑をかけてしまう場合

介護施設では共同生活が原則なので認知症が進行し、突然大声を出してしまう場合や、暴力行為、自傷行為など他の入居者に迷惑をかけたり、施設の体制ではケアすることが難しいと判断された場合には退去するように言われる可能性があります。

このような症状が出た場合に施設側は医師に相談して、できる限りの手を尽くしてくれますが、それでも難しい場合には退去という流れになります。

施設によっては職員の対応で認知症の症状を抑えたり、薬によってコントロールできれば退去する必要がない場合がありますので、入居の際に施設に相談しておくと良いでしょう。

3.入院が長引き3か月以上施設に戻らなかった場合

老人ホームでは入居中に一定期間以上の入院をした場合には退去しなければいけない施設があります。入院期間は3か月や6か月など施設によって異なります。

まとめ

もし介護施設から退去勧告を出されたとしても、すぐに退去しなければならないわけではありません。

ただし、どの老人ホームも終身利用できるとは限らず、退去しなければならない可能性はあります。入居の際には必ず退去要件を確認しておきましょう。

もし退去しなければならない状況になってしまったら下の記事で、現在の状況別に入居が可能な施設を紹介していますので、ご覧ください。

監修者:陽田 裕也

監修者:陽田 裕也監修者:陽田 裕也

資格:社会福祉士 生活相談員 介護福祉士 介護支援専門員
2001年介護福祉士の養成校を卒業と同時に介護福祉士を取得、翌年には社会福祉主事任用資格も取得した。 2002年から特別養護老人ホームで介護職員として勤務しており、その後、同一施設内で生活相談員や施設ケアマネジャーなどを経験しながら社会福祉士の国家試験に合格した。 現在は副施設長を兼任し生活相談員として相談援助に携わっている。 今後は権利擁護への知見を広げるため、成年後見人養成研修にも参加予定である。