介護医療院とは?わかりやすく費用やメリットについて解説!【2019年版】

2018年4月から創設され始めた「介護医療院」ですが、2019年3月時点で150もの施設が設立され、病床数は10,000を超えるようになりました。
参考:介護医療院の開設状況について

 

しかし、創設されて間もないということもあり

どのようなサービスが受けられるのか?
以前から設立されていた介護療養型医療施設(療養病床)とは何が違うのか?

など様々な疑問があるでしょう。
そこでこの記事では介護医療院について、施設の特徴、療養病床との違いなどをご紹介させていただきます。

療養病床での介護
@ake1150/stock.adobe.com

介護医療院とは

介護医療院とは2018年から介護サービスが提供され始めた施設です。
施設の特徴は、急性期は過ぎているが(重度の糖尿病などによる食事制限が必要など)そのまま生活の場に戻すのは困難であると医師から判断された要介護1以上の方が入院でき、慢性期の医療行為や看取り、ターミナルケアなどを受けることができます。

介護医療院にはⅠ型Ⅱ型の2種類があります。
Ⅰ型は医師の配置基準が療養病床と同じになっており、Ⅱ型より医学管理が充実しています。他方、Ⅱ型は長期な療養が必要な方の中でも容態が比較的安定している方向けとなっております。

 

介護医療院の成り立ち

介護医療院の原型は1993年に創設された療養型病床群という施設です。
当時、本来なら入院の必要性がないにも関わらず、退院後の行き場がないという理由で入院を継続する「社会的入院」が問題になっていました。
例えば大腿骨頚部骨折をして入院、手術後、リハビリを受けても十分に身体機能が回復しないため社会保障費を利用して(本来であれば介護施設に転居しなければならないが)入院し続ける、などあげられます。

 

そこで、療養病床の記事でも書かせていただきましたが、介護保険制度開始時(2000年)に長期的療養が必要な方が入院する医療型療養病床(医療保険適応)と、医学的管理下での長期的療養が可能な介護療養病床(介護保険適応)が創設されました。


©oben901/stock.adobe.com

 

しかし、2006年、両施設の患者の容態にあまり差がないにも関わらず、施設によって医療保険が適応される場合と介護保険が適応される場合の両方があることで、医療が本当に必要な方の医療保険や病床が足りなくなるという問題が発生しました。

そこで介護型の療養病床に患者のうち、長期的な療養が必要な方は医療型の療養病床へ転居、それ以外の方は2011年までに介護療養型介護老人保健施設や特別養護老人ホームに転居することに決まりました。

 

2011年、予想よりも療養病床からの転換が進んでいない(下図)ことから転換期限を2017年末まで延長し、今後の介護療養病床の新設を禁止しました。

出典:介護療養病床・介護医療院のこれまでの経緯

また介護療養病床の患者を、
(1)医療の必要性が高い方
(2)容体が急変する方
(3)容態が比較的安定している方
の3つに分け、それぞれ受け入れ先を
(1)医療型の療養病床
(2)介護医療院Ⅰ型
(3)介護医療院Ⅱ型
としました。これが介護医療院が創設された経緯です。

今後の介護医療院

出典:介護療養病床・介護医療院のこれまでの経緯

入院にかかる費用

介護医療院に入院する場合は主に、
①介護サービス費
②居住費
③食費
④その他
といった4種類の出費が発生します。

 

同施設は特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設(老健)と同じ、介護保健施設に分類されるので入居一時金は発生しません
しかし特養や老健より専門的な医療行為が発生するゆえか、月額費用が比較的高くなっているのも特徴です。

 

介護医療院Ⅰ型Ⅱ型で提供される大まかな①介護サービス費は以下の通りになっています。(1単位=10円として計算するのが目安)

要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5
Ⅰ型
(介護6:1
看護5:1)
775単位/日 882単位/日 1,111単位/日 1,208単位/日 1,296単位/日
Ⅱ型
(介護6:1
看護6:1)
731単位/日 825単位/日 1,029単位/日 1,116単位/日 1,194単位/日

上記に加え、食費が約4.1万円住居費が約1.1万円その他に衣服クリーニング代など5千円ほど発生するので、仮に要介護3の方がⅠ型に1ヶ月間入院される場合、約10万~14万円/月ほどかかる計算になります。
(参考までに特養は約8万~12万円/月)

 

退院後の入居先について

介護医療院で医療ケアやリハビリを受けた後、容態が安定して退院される方もいらっしゃいます。
そのような方は次の転居先として、どの施設を検討すればよいのかまとめさせていただきます。

介護療養病床からの退院先

出展:介護療養型医療施設及び介護医療院

介護医療院の情報がまだないため介護療養病床の情報を参考にご説明させていただきます。

介護医療院から転居する場合も自宅に戻る方が一番多く、入居先としての介護保険施設は老健が一番多いと考えられるでしょう。

転居の際には施設所属のメディカルソーシャルワーカー(MSW)の力を借りましょう。
MSWは患者の容態が落ち着くと(医療より介護の必要性の方が高まると)、介護医療院からの受け入れ先の施設を探してくれます。
退院前に希望の施設を伝えておくことによりスムーズな転居が可能になります。

 

療養病床と介護医療院、老健の設置基準

介護医療院の設置基準を、以下の表を使って介護療養病床と老健の設置基準とともにご紹介させていただきます。

それぞれ医学的管理が整っている施設という共通点がありますが、一見似ているようで「医療設備の配置義務」の有無や「レクリエーションルームの有無」などに違いが見られます。
医療施設の特色をもつのか介護施設の特色を持つのか、ということにより3種類の施設が区分けされます。

介護療養病床(病院)
【療養機能強化型】
介護医療院 介護老人保健施設
病室 定員4名以下
床面積6.4㎡/人以上
定員4名以下
床面積8.0㎡/人以上
定員4名以下
床面積8.0㎡/人以上
機能
訓練室
40㎡以上 40㎡以上 入所定員1名あたり1㎡以上
食堂 入院患者1人あたり1㎡以上 入院患者1人あたり1㎡以上 入院患者1人あたり2㎡以上
レクリ
エーシ
ョンル
ーム
十分な広さ 十分な広さ
医療
設備
処置室、臨床検査施設、
エックス線装置、調剤所
処置室、臨床検査施設、
エックス線装置、調剤所
(薬剤師が調剤を行う場合:
調剤所)
他設備 給食施設、その他都道府県
の条例で定める施設
洗面所、便所、サービスステーション、
調理室、洗濯室又は洗濯場、汚物処理室
洗面所、便所、サービスステーション、
調理室、洗濯室又は洗濯場、汚物処理室
医療の
構造
設備
診療の用に供する電気、光線、熱、蒸気
又はガスに関する構造設備、放射線
に関する構造設備
診療の用に供する電気、光線、熱、蒸気
又はガスに関する構造設備、放射線
に関する構造設備
廊下 廊下幅: 1.8m(中廊下は2.7m)
※経過措置 廊下幅: 1.2m、中廊下1.6m
廊下幅: 1.8m、中廊下は2.7m
※転換の場合 廊下幅: 1.2m、中廊下1.6m
廊下幅: 1.8m、中廊下は2.7m
※転換の場合 廊下幅: 1.2m、中廊下1.6m
耐火
構造
(3階以上に病室がある場合)
建築基準法に基づく主要構造部:耐火建築物
原則、耐火建築物
(2階建て又は平屋建てのうち
特別な場合は準耐火建築物)
※転換の場合、特例あり
原則、耐火建築物
(2階建て又は平屋建てのうち
特別な場合は準耐火建築物)
※転換の場合、特例あり

参考:介護療養病床・介護医療院のこれまでの経緯

 

療養病床と介護医療院、老健の人員配置

設備基準の次は人員配置を3種類の施設と比較しながらみていきます。

介護療養病床と介護医療院と介護老人保健施設の人員配置出典:介護療養病床・介護医療院のこれまでの経緯

介護医療院Ⅰ型の医師の配置義務数が老健の約2倍であることからも介護医療院の医療体制の充実さがわかります。
また、Ⅱ型Ⅰ型に比べて医師や薬剤師、介護職員の配置が少なく、Ⅰ型よりも容体が安定している方向けの施設となっていることもわかります。

 

介護医療院に入院するメリット・デメリット

ここでは、創設されたばかりの介護医療院の3つのメリット、2つのデメリットについて簡単にご説明させていただきます。

3つのメリット

3つのポイント

@New Africa/stock.adobe.com

  • 慢性的な病状をかかえている方でも、医学管理下で長期間の入院が可能です。
    (医学管理というのは点滴、頻度の多い喀痰吸引、血糖値の測定やインシュリンの注射など、より医師と看護師との連携の必要性が高い管理のことを指します。)
  • 入居一時金が不要で、比較的低い費用で介護サービスを受けることができます。
    発生するのは主に介護サービス費用+食費+住居費+その他の4種類です。
  • 多床室でも患者のプライバシーが守られやすいよう部屋が区分けされています。

介護医療院ではプライバシーが守られる出典:介護療養病床・介護医療院のこれまでの経緯

上の図のように多床室利用の場合でも、プライバシーが守られる環境であるといえます。

 

2つのデメリット

  • 介護保険施設の中では月額費用が高い専門的な医療体制が整っているゆえか、特養や老健より月額費用がかかります。
    しかし低所得者のための負担軽減制度というものがあり、この 条件を満たす方は食費や住居費が軽減されます。
    詳しくは療養病床の記事内に記述しましたのでご参考にしてください。
    【初めての方必見!】介護療養型医療施設に関する費用や入院期間などの疑問を一挙解説!
  • 創設されたばかりなので今後が不透明です。
    2018年から創設され始めましたが、現在も6年間の転換期間となっており(上図)計画通り介護医療院の施設数は増えるのか?現在療養病床に入院している方はスムーズに介護医療院に入院できるのか?(一回退院する必要があるのか?施設移動はないのか?)など様々な不透明な要素があります。

療養病床は平成32年までに全廃します出典:介護療養病床・介護医療院のこれまでの経緯

 

まとめ

全棟廃止が決まっている療養病床と、新しく転換先として創設された介護医療院を比較することで介護医療院という施設がどのような特徴を持つかがわかりやすくなります。

しかし介護医療院への転換が始まってから、まだ時間がさほど経過していないので、今後制度が変わってくる可能性もあります。
患者様が介護施設に慣れるためにも、厚生労働省が公開している情報の確認や各自治体への問い合わせが大切になってきます。
参考:介護医療院について

監修者:陽田 裕也

監修者:陽田 裕也監修者:陽田 裕也

資格:社会福祉士 生活相談員 介護福祉士 介護支援専門員
2001年介護福祉士の養成校を卒業と同時に介護福祉士を取得、翌年には社会福祉主事任用資格も取得した。 2002年から特別養護老人ホームで介護職員として勤務しており、その後、同一施設内で生活相談員や施設ケアマネジャーなどを経験しながら社会福祉士の国家試験に合格した。 現在は副施設長を兼任し生活相談員として相談援助に携わっている。 今後は権利擁護への知見を広げるため、成年後見人養成研修にも参加予定である。