要介護認定とは?認定基準や流れを詳しく解説【2019年度版】

国の社会保障制度には、医療保険、年金保険、雇用保険、労災保険、介護保険の5つがあります。

その中でも、「介護保険」は全ての65歳以上の国民が対象の保険制度ですが、受給するためには「要介護認定」を受け、対象者が支援または介護が必要な状態と認められる必要があります。

 

現在日本では被介護保険者の数が年々増えており、H28年には3,382万人まで増加しました。これは当時の人口(1億2,693万人)の26.6%であり、国民の4人に1人が「要支援・要介護が必要な状態にある」と言えます。

要支援・要介護が必要な状態にある高齢者の人口推移

出典:平成27年度 介護保険事業状況報告(年報)のポイント

今後、さらに増えていく要支援者・要介護者のためにも今回は「要介護認定の申請方法」についてご説明させていただきます。

 

要介護認定とは?

要介護認定とは、原則65歳以上の高齢者が、介護が必要になった時に介護保険を申請する制度のことです。例外として特定疾患に罹患している40~64歳の方も対象になります。

介護保険を申請し要介護として認定をされることで、介護保険サービスを受けることができるようになります。

被保険者の要介護度については「どのような介護が、どれくらい必要か?」ということを市の担当者による聞き取り調査やかかりつけ医による意見書をもとにコンピューターによって判断していきます。この基準は全国で一律になります。

そして、それぞれ認定された要介護度によって利用できる介護サービスや介護サービスの利用にかかる費用などが変動します。また、どの要介護度と判断(認定)されるかによって介護保険給付金も変わり、受けられるサービスの種類や頻度にも関係するため、要介護認定は非常に重要です。

 

要介護度の認定基準は?

要介護認定は介護の必要度合いによって要介護認定区分が設定されており、自立、要支援1・2、要介護1~5の8段階に分かれています。

どの要介護度にあたるかどうかは、各チェック項目と時間換算でどれだけ介護が必要かを表す「要介護認定等基準時間」によって判定されます。判定時にチェックされる項目は主に以下の5つです。

  1. 身体機能・起居動作
  2. 生活機能
  3. 認知機能
  4. 精神・行動障害
  5. 社会生活への適応力

これらの項目を総合的にみて、被保険者の要介護度を判定していきます。

要介護度ごとの大まかな状態は以下のように定義されています。

要介護認定区分と心身状態の目安

要介護度 状態 区分支給限度基準額
自立 支援を必要としなくても、日常生活をおくることができる状態
要支援1 自分でトイレに行ったり、ご飯を食べたりすることができ、掃除や洗濯などに関しては、少しお手伝いがあれば助かるといった状態 5,032

単位/月

要支援2 歩行などに不安が見られ、排泄・入浴の際に軽く身体を支えたり、見守りが必要で身体機能に改善の可能性がある状態 10,531

単位/月

要介護1 立ち上がりが不安定で杖歩行の場合あり、排泄・入浴などに一部介助を要する状態 16,765

単位/月

要介護2 立ち上がりが自力では困難で、排泄・入浴などに部分的介助ないし全介助が必要な状態 19,705

単位/月

要介護3 立ち上がり・起き上がりなどが自力でできずに排泄・入浴・衣類の着脱など日常生活全般に部分的介助ないし全介助が必要な状態 27,048

単位/月

要介護4 寝たきりに近く排泄・入浴・衣類着脱など日常生活全般に全介助が必要な状態 30,938

単位/月

要介護5 日常生活全般に全介助が必要で、意思伝達も困難な状態 36,217

単位/月

表の「区分支給限度基準」とは、要介護度別の介護保険給付金の限度額を表しています。

1単位の値段は地域によって変わってきますが、目安として1単位=10円で計算されることが多いです。

ご自身がお住まいの地域について気になる方は以下の記事をご参考にして下さい。

参考:要介護認定の仕組みと手順 厚生労働省

参考:公的介護保険の単価は地域によって異なる

 

正確な要介護認定を受けるための注意点

ご家族の方やケアマネジャーの方にも立ち合っていただき、要介護者が緊張しない環境を作ることが大切です。

要介護申請は市区役所の担当者による聞き取り調査から始まります。

高齢者の方は、初対面の方の前では「できないと思われたくない!」との思いからか、普段できないことも「できます。」とおっしゃってしまうことがあります。

聞き取り調査は原則一度しか行われません。

それによって、実際に必要な要介護度より低く認定されてしまうこともあるのです。

そこで、ご家族が被介護者の日常生活(立ち上がり、排泄、食事、着替えなど)での支障をあらかじめ理解しておくことが重要です。

また、一日の中でも朝、昼、夜と被介護者の生活動作などが変わってきます。

一番介護が大変なときは一日の何時なのかその時はどんな様子なのかをご家族は把握し、聞き取り調査の際に伝えられるようにしましょう。

 

要介護認定は誰がするの?

©polkadot/stock.adobe.com

これから、少々詳しく要介護申請の手順をご説明させていただく前に、考えていただきたいことがあります。

それは「色々な工程がある要介護認定は自分で行わなければいけないのか?」ということです。

 

結論から申しますと、自分でおこなう必要はありません。

もちろん自分で申請することもできますが、以下の場所を訪れ、要介護申請の旨を伝えることで代行していただくことができます。

  • お近くの地域包括支援センター
  • 居宅介護支援事業所(ケアマネジャーが在籍する事業所)

申請の手順に自信がない場合や、被介護者が遠方に住んでいる場合は相談してみましょう。

また、その時重要なのが居宅介護支援事業者(ケアマネジャー)の選び方です。

ケアマネジャーが要介護度に沿ったケアプランを書くことで介護サービスを利用できるからです。(ケアプランが無ければ介護保険によって介護サービスは受けられません)

ご参考までに、ケアマネジャーの選び方についてまとめましたので参考にしてください。

いいケアマネジャーの選び方

 

申請から認定までの要介護認定の流れ

要介護認定を自分(家族)で行うと決められた方のご参考までに、申請から認定が出るまでの流れを図にしてみました。

大まかには、このような流れになっております。

要介護認定申請から通知までの流れ

要介護認定を受けるための申請・変更申請は、直接自身や家族が市長村に申請する場合と、第三者である『地域包括支援センター』と『居宅介護支援事業所』が申請してくれる場合があり、変更申請も代行してくれます。

要介護認定は基本的に1ヶ月で結果がでますが、変更申請が込み合っているなどで訪問調査が混雑している場合には、最長で2ヶ月ほどかかる場合があります。もしも結果が出るのが遅くなりそうな場合は、自治体から事前に通知があり教えてくれます。

申請から通知までの期間は大体1ヶ月~2ヶ月かかると見積もっておきましょう。

では以下で要介護認定の申請に関してより詳しくご説明させていただきます。

 

市区町村の窓口、地域包括支援センターで申請する際の持ち物

要介護認定を申請するにあたって、市区町村の窓口や地域包括センターに持っていくべきものをご説明させていただきます。

 

1.介護保険申請書(要介護認定申請書)

WEBで「○○市 介護保険申請書」と検索し、市役所や区役所のホームページからお住まいの地域に対応している介護保険申請書を調べることができます。

同封されている見本を見ながら、その申請書を印刷し記述項目を埋めましょう。

また、お住まいの地域の福祉センターや地域包括支援センターで頂くこともできます。

参考までに東京都新宿区の介護保険申請用紙はこのようになっています。

要介護認定の申請書

出典:新宿区 要介護認定に必要なもの

 

2.介護保険被保険者証(介護保険証)

65歳以上の方は市区町から以下のような介護保険被保険者証が家に郵送されます。

また、40歳~65歳の特定疾患に罹患されている方は、健康保険証を持参する必要があります。

介護保険被保険者証

3.マイナンバーカード

マイナンバーカードは地域によって提出義務があるところとそうでないところがあります。

WEBや地域包括支援センターで提出義務があるのか確認しておきましょう。

 

4.身分証明書

身分証明書についても、提出義務の有無は地域によって異なります。

 

主治医の意見書

意見書とは、主治医により被介護者が罹患している疾病や負傷についての状態を記載したものになっており、要介護認定の一次判定に使われます。

要介護認定を申請した後に、行政が被介護者の主治医に対して意見書の提出を求めます。

医師は、病状など医療に関することは充分に把握できますが、日常生活の様子についてはなかなか把握できないのが現状です。

よって被介護者の担当ケアマネジャーやご家族からヒアリング(聴衆)を行います。

ゆえに正確に一次判定の結果を出すために、被介護者の認知症の症状、日常生活動作について詳細に伝えることは重要なことです。

ちなみに医師が意見書を記述した後、そのまま行政に提出する流れになっているので、介護者被介護者ともに意見書を目にすることはありません。

主治医意見書

出典:介護保険の主治医意見書とは

 

介護保険を申請してからサービスを利用するまでの詳しい流れについては以下の記事で詳しくまとめておりますので参考にしてみてください。

介護保険の申請からサービス利用までの流れ

 

 

1回の要介護認定の有効期限は?

要介護認定は一度受けたらずっとその要介護度が適用されるわけではありません。

1回の要介護認定の有効期間は新規で要介護認定申請をされた場合6カ月、更新の申請をされた場合は12カ月となっています。

詳しくは以下の表をご覧ください。

申請区分 原則の有効期間 設定可能な有効期間
新規申請 6カ月 3~12カ月
更新申請 6カ月

3~12カ月

区分変更

申請

前回要支援⇒今回要支援 12カ月 3~36カ月
前回要支援⇒今回要介護 12カ月 3~36カ月
前回要介護⇒今回要支援 12カ月 3~36カ月
前回要介護⇒今回要介護 12カ月 3~36カ月

しかし要介護認定の申請数増加により、原則通り12カ月後に更新申請を行える方は稀で、多くの方の有効期限が約24カ月(2年)~36ヶ月(3年)まで延びているのが現状です。

 

要介護認定の判定結果に不服がある場合

「親の状態から要介護3だと思ったのに、要介護申請の結果が違った…」

「体調が悪くなったから2回目の要介護認定を受けたのに、要介護度が変わらなかった…」

など、ご自身が予想されていた要介護度と認定の結果が違うこともあるでしょう。

「重度向けの介護が必要なのに、要介護度が低いからサービスを受けられない」という悩みを抱えていらっしゃる方のために区分変更申請というものがあります。

 

不服申請制度について

また要介護認定の不服申請制度というものもあります。こちらは要介護認定自体を最初からおこないなおしてくれる制度です。

ただし、対象の方は「行政処分を受けた本人、またはその処分によって、直接自己の権利や利益を侵害された方」に限られていることや、審査請求できる期間は要介認定の結果が届いてから3カ月以内(期間は地域によって異なります)となっていること、結果が出るまで数カ月かかることからあまり使われている制度ではありません。

参考:介護保険に関する審査請求(不服申立て)のご案内

 

申請方法に関して

区分変更申請の申請用紙は各自治体のホームページから印刷できます。

また、お住いの市役所の窓口からも頂くことは可能です。

それ以降の申請方法は、上記の要介護認定の手順と同じです。

 

まとめ

介護生活の始まりと言っても過言ではない要介護認定であるため、お住まいの地域の申請方法について調べておきましょう。

2回目以降の要介護申請については担当されたケアマネジャーに代行していただくことが多いですが、変更申請など制度についての選択肢をもっておくことは大切です。

要介護認定についてわからないことや気になったことがあれば、お近くの地域包括支援センターに相談してみてください。

監修者:陽田 裕也

監修者:陽田 裕也監修者:陽田 裕也

資格:社会福祉士 生活相談員 介護福祉士 介護支援専門員
2001年介護福祉士の養成校を卒業と同時に介護福祉士を取得、翌年には社会福祉主事任用資格も取得した。 2002年から特別養護老人ホームで介護職員として勤務しており、その後、同一施設内で生活相談員や施設ケアマネジャーなどを経験しながら社会福祉士の国家試験に合格した。 現在は副施設長を兼任し生活相談員として相談援助に携わっている。 今後は権利擁護への知見を広げるため、成年後見人養成研修にも参加予定である。