特養とは?気になる費用や入居条件について詳しく解説!【2019年度最新版】

特養とは正式には「特別養護老人ホーム」や「介護老人福祉施設」と呼ばれる介護保険施設です。

介護施設のなかでも比較的月々の費用が安く、看取りまでおこなってもらえる施設になりますが、入居条件は少し厳しめ。

特に要介護度が高い方や何らかの理由で自宅での介護が受けられない方を優先して受け入れているので、何年も入居待ちなんてこともあります。

この記事ではそんな特養の費用や入居条件、入居待ちの場合の対応まで幅広く解説していきます。

老夫婦の画像©Monet/stock.adobe.com

特養とは中~重度の要介護度の方を対象とした老人ホーム

特養は、社会福祉法人や自治体などの公的機関が運営している介護施設のことをさし、介護保険制度上では介護老人福祉施設という名称で呼ばれています。

特養は在宅での生活が困難な中~重度の要介護度の高齢者の方を対象とした施設になります。

施設内で受けられる主なサービス内容としては、入浴、排泄、食事などの日常生活の支援や機能訓練、健康管理及び療養上の支援があげられます。

特養の入居条件は原則要介護3以上の方に限定される

特養にはどのような方が入れるのでしょうか?

実は、2015年の介護保険制度改正により、特養の入居者は原則として要介護度3以上の方に限定されるようになりました。

特定疾病が認められた40歳~64歳で要介護3以上の方も入居することが可能です。

要介護度3の状態とは?

  • 自分で立ち上がったり歩行をすることが困難
  • 排せつや入浴などに多くの介助が必要
  • 日常生活に多くの介助を必要としないが精神面の支援が必要な状態

また例外として、下記のような特別な事情が認められた場合には、要介護度1,2の方も特養に入居することが可能です。

  • 認知症により日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難が頻繁にみられ、在宅生活が困難である場合。
  • 知的障がい・精神障がいを伴い、日常生活に支障を来すような状態。行動や意思疎通に苦労し、在宅生活が困難である場合。
  • 家族等から深刻な虐待を受け、心身の安全・安心の確保が困難である場合。
  • 単身世帯である、同居家族が高齢または病弱である等の理由により、家族からの支援を期待することができず、また地域での介護サービスや生活支援の供給を十分に認められないことにより在宅生活が困難である場合。

ただし注意して頂きたいのは、上記の状態であるからといって必ずしも入れるわけではないということです。

というのも特養は入居の条件をポイント制で決めています。

ポイント制とは要介護度、介護の期間、介護者に家族がいるかなどによってポイントが10ポイントから30ポイントまでに振られる制度です。

そして、その合計ポイントが高い人から入居ができるようになっています。

さらに介護者が病気になった場合は、「緊急枠」として入居の順番が優先される場合もあるため、すぐに入居するのは難しいのが現状です。

特養の人員配置や設備について

介護福祉士、機能訓練指導員、ケアマネジャーなどのスタッフに加えて、入所者の健康管理のために看護師(看護師:介護職員=1:3)や、医師(非常勤でも可)の配置が義務化されています。医師は嘱託医として施設と契約を結んでいます。

このように要介護が高い高齢者に対しての介護医療環境が整っているといえます。

 

設備に関しては生活に必要な浴室、食堂や共有スペース、診療に利用する部屋があります。

 

部屋の種類は、個室や4人1部屋の多床室、個人のプライバシーを尊重するユニット型個室などがあります。

部屋の種類(多床室、個室、ユニット型個室)

部屋の種類によって看護師や介護職員が1人当たりのお世話をする利用者数も異なります。

多床室では看護介護職員1人当たりに対して平均2.2人の利用者をお世話しており、ユニット型個室では看護・介護職員1人当たり平均1.7人の利用者となっております。

特養の入居費用はいくら?

特養では前払金などの初期費用が一切かかりません。

月々の費用は8万~12万円ほどかかりますが、他の施設と比べると安く設定されています。

例えば民間が運営する有料老人ホームでは月々に15万円~30万円ほど費用がかかります。

また同じ介護保険施設である老健と比べても費用は若干安く設定されています。

お金と貯金箱
© Syda Productions/stock.adobe.com

費用の内訳

月々にかかる費用の内訳は以下の通りになっています。

  • 介護保険サービス費(施設介護サービスの基本費用+サービス加算)
  • 居住費
  • 管理費
  • 食費
  • その他費用(日常生活費、理容費、娯楽費、医療費など)

介護保険施設とはいっても、介護保険が適用される費用の他に、居住費や食費など自己負担が必要となる費用もありますので注意してください。

費用が高くて払えないときの対処法

費用が比較的安いとはいっても毎月10万前後の支払いが必要です。

入居したいけれど月々の費用が支払えないという方は、居住費や食費など介護保険適用外の費用を軽減できる可能性がある減額制度について調べてみましょう。

特養への入居者が対象となる減額制度には以下のようなものがあります。

  • 特定入所者介護サービス費(負担限度額認定)
  • 高額介護サービス費用
  • 社会福祉法人等による利用者負担軽減制度
  • 医療費控除制度
  • 高額医療・高額介護合算療養費制度

減額制度など特養の費用についてもっと詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。

 

参考:特別養護老人ホーム(特養)にかかる費用の内訳|減免制度も多数紹介

 

知っておきたい特養のメリットとデメリットは?

では今まで見てきたことを踏まえ、特養のメリット・デメリットを見ていきましょう。

高齢者と介護福祉士©mykeyruna/stock.adobe.com

 

経済的負担が少ないのがメリット

メリットは主に2点あります。

費用が他の施設に比べて安価

民間が運営する施設に比べて値段が安価です。

なぜならば、公共施設のため介護保険が適応され、入居一時金などが必要がなく、施設サービス費が安くなるからです。

入所期間に制限がない

介護老人保健施設などは目的が違うため要介護度が上がり、認知症が悪化した場合に、医療機関に薦める場合ありますが、特養では看取り介護が可能です。

人気で中々入居できないのがデメリット

デメリットは主に2つあります。

入所までに時間を要し、何年も待つ場合もある

特養に入居するまでには非常に時間を有します。2017年時点に申し込みをした人数は295,237人に上ります。

施設入居条件が原則要介護度3以上の方に限定される前の2014年では、申込者数が約524,000人であったため減少傾向ではあります。しかし依然として特養に入所するためには待たなくてはならない状況に変わりはありません。

参考:厚生労働省「特別養護老人ホームの入所申込者の状況」

原則として緊急度、優先度の高い人は優先的に入居でき、他の入居希望者が待つことがある

2015年介護保険法改正により、特養に入居できる方は要介護度3以上に限定されました。

さらには、要介護度1,2の方は特養に入居できなくなりましたが、介護者や本人の状態から「緊急度」が高いと判断された場合や要介護度1,2の方でも条件を満たせば、入居できることがあります。

そのため緊急度の高い人が優先されることもあるので、順番通り入居できない場合があります。

 

特養に入居した際の1日の流れ

おりがみをする高齢者の手
©sakulove/stock.adobe.com

特養に入居した後、入居者はどのような生活をおくるのでしょうか?

特養での1日の流れは以下のようになっています。(あくまでも一例としての紹介です。)

  • 7:00~起床
  • 8:00~朝食
  • 9:00~検温、体温、血圧などの健康診断
  • 9:30~入浴
  • 12:00~昼食
  • 13:00~おりがみなどの脳トレ、体操
  • 15:00~お茶、おやつ
  • 18:30~夕食
  • 20:00~夜間薬投与
  • 21:00~就寝

各施設によって順序等は異なりますが、多くの施設ではこのような流れになっています。

 

入居待ちで特養への入居が難しい場合

場合によっては、ご家族や要介護者の方の体調が悪い場合は担当のケアマネや市区町村に相談することで、特別に特養への入居の順番を早めてくれることがあります。

そのため、今後自宅で介護をし続けるのがどうしても難しいという場合は申請先にその旨を伝えてみましょう。

 

それでも入居が難しい場合には、入居までショートステイを使うといった手段もございます。

※ショートステイとは高齢者が数日~1週間の間入居できる施設のことをさします。ショートステイは連続30日まで利用することができ、31日目からは全額自己負担にとなります。詳しくは以下の記事をお読みください。

 

参考:ショートステイとは?|気になる費用や利用日数を解説

 

実は特養には種類があります

特養には、様々なタイプがあります。

具体的には「地域密着型特養」と「地域サポート型特養」「広域型特養」の3つにです。さらに、「地域密着型特養」は、サテライト型と単独型に分かれています。

 

サービス内容などに違いはなく、各施設が受け入れる条件が異なります。

それでは、それぞれの特養について以下でご説明致します。

車椅子の夫婦とヘルパー©kazoka303030/stock.adobe.com

 

地域密着型特養とは?

地域密着型特養は要介護者を受け入れる人数は29人以下と少数で、介護者本人の住民票がある地域でのみ入居ができます。

自分の住み慣れた地域に少人数で暮らすことができるため、安心して暮らし続けることができます。

「地域密着型特養」は、サテライト型と単独型に分かれます。

 

サテライト型

サテライト住居施設では要介護者が民間のアパートで1人暮らしをしつつ、特養などの食事も受けられます。

本体施設の地域拠点は、要介護者が20分以内で移動できるような場所にあります。

 

単独型

特養で受けられる介護サービスを小規模の人数で受けることができる施設のことです。9~12人で構成されるユニット型の施設が多く、家庭的な雰囲気で生活を送れます。ショートステイなどを併設しているところも多いです。

 

地域サポート型特養とは?

地域サポート型特養は、通常の特養のサービスに加えて、見守りを希望する世帯や1人で暮らすのが不安な地域住民に対して24時間サポートの見守りを行う施設です。

サポートは、生活相談員が電話や訪問などで対応します。

見守りを希望する方は、各地域のサポート型特養と契約を結び実施という流れになります。

 

広域型特養とは?

広域型特養はどの地域に住んでいても入居することができ、30人以上の要介護者を受け入れることができます。

 

まとめ

老人介護施設・くつろぐ母
©godfather/stock.adobe.com

特養は比較的費用が安価で、長く入居できるのが特徴です。

その反面入居までに時間がかかり、基本的に65歳以上の要介護度3以上の方しか入居することができない点がデメリットとしてあげられます。

したがって特養の入居待ちを確認しながら、他の施設も検討するのがよいでしょう。

また、入居したい特養の雰囲気を感じるためにも一度見学されることをおすすめします。

 

監修者:陽田 裕也

監修者:陽田 裕也監修者:陽田 裕也

資格:社会福祉士 生活相談員 介護福祉士 介護支援専門員
2001年介護福祉士の養成校を卒業と同時に介護福祉士を取得、翌年には社会福祉主事任用資格も取得した。 2002年から特別養護老人ホームで介護職員として勤務しており、その後、同一施設内で生活相談員や施設ケアマネジャーなどを経験しながら社会福祉士の国家試験に合格した。 現在は副施設長を兼任し生活相談員として相談援助に携わっている。 今後は権利擁護への知見を広げるため、成年後見人養成研修にも参加予定である。