介護施設から受け入れ拒否される5つの理由と対処法!

「普段から言うことを聞いてくれないので、施設でも問題を起こさないか心配なんだけど…」
「ウチの人は病気を抱えてるけど、施設に預けられるのかしら?」

そんな不安から介護施設(老人ホーム)にお世話になることをためらってしまう方を多く見かけます。

 

しかし、以下の「主な介護者の悩みやストレスの原因の割合」を表したグラフが示すように、介護によって「自分の時間が奪われている」と感じている方も少なくないのです。

介護によるストレス、悩み

出展:介護の状況

自分では限界を感じているのに、介護施設に断られるかもしれない(断られた)から介護の専門家に介護してもらうことができない、という事態は避けなければなりません。

例え、家で暴力や大声を出してしまう方であっても認知症に対して適切な対応策がなされている介護施設(老人ホーム)などであれば受け入れてもらえることもあります。
このように、病気を患っていても医療機関や訪問看護事業所などから看護サマリーを頂き、それを施設に提出することによって受け入れられる可能性もあります。

ですが、全ての方が全ての施設に入れるというわけではないことも事実です。

ではどのような場合に受け入れ拒否をされてしまう可能性があるのでしょうか?

そのような悩みを抱えてる方のために、この記事では「介護施設から受け入れ拒否される理由は!?」という疑問や「受け入れ拒否されないためにどうするべきか?」という対処法を明確にしていきたいと思います。

介護施設に受け入れ拒否される

この記事で取り扱う「介護施設」とは特別養護老人施設などの介護老人福祉施設の他に、有料老人ホームなどの特定施設、グループホームといった地域密着型共同生活施設も含まれます。

 

認知症がひどく、周りの方に暴力をふるってしまうかもしれない場合

今まで温厚だった人も、認知症の進行などの原因により周りに対して暴力的になることがあります。

この症状は主に、脳の一部に何らかの障害が起こり知的機能が正常に機能しなくなるために発症します。理性である「耐える、気にしないようにする」ということができなくなり感情のコントロールができなくなっているからです。

暴力と聞くと、ご家族の方は「施設に預けたら、家の外の人に迷惑をかけるんじゃないか」と心配になると思います。
しかし、「在宅で面倒をみるのは疲れた…これ以上は…」と考えてしまう方もいらっしゃるでしょう。

暴れる高齢者

受け入れ拒否が予想される理由

介護保険法により介護施設は「正当な理由なく指定介護福祉施設サービスの提供を拒んではならない。」と定められています。

参考:介護保険法に基づき指定介護老人福祉施設の設備及び運営に関する基準等を定める条例

しかし、暴力をしてしまう方にしっかりした対応を行えば落ち着くようになることを知らずに、そのような方の入居を「他の利用者に暴力を振るかもしれないから」という理由で断る事業所もあるのです。

 

対処法として

認知症の方が暴力的になる原因は、何が起こるかわからない不安に感情の増幅が合わさって起こります。
見方を変えると、認知症の症状による暴力やパニックを落ち着かせることができれば他の入居者に迷惑をかけることはほとんどないということです。

そこで、そのような症状の対処に力を入れている特別養護老人施設(特養)を探してみてください。
特に「ユマニチュードを取り入れている」「身体拘束は行わない」、など認知症の対応に力を入れている施設は安心できます。

認知症の方の心のケアを専門的に行っている施設に依頼することで、施設への受け入れ拒否される可能性を抑えることができるでしょう。

 

暴力以外の行動で迷惑をかけてしまうかもしれない場合

人によって認知症の症状のレベルは異なりますが、認知症の周辺症状が見られる方には不安も多いでしょう。

無断での外出などにより人に迷惑をかけてしまうかもしれない。」と心配になられる方もいらっしゃいます。
無断で外出するのをやめさせようと家に連れ戻そうとしたら、暴れられたり、その場でうずくまってしまったりして、どうすればいいかわからず辛い経験をした方も多いでしょう。

無断外出を無理に止めさせることは良くないことだと分かっていても、「在宅介護の場合は介護している方の時間もあるし、付きっきりで介護することはできない!」と考えてしまい、強引に連れて帰るという苦労をされている方もいらっしゃるかもしれません。

許可なく外出をしてしまった高齢者

受け入れ拒否が予想される理由

施設としては、無断外出などをされる方の介護は時間がかかってしまい、介護職員の人手を割いてしまうから入居を断りたい、と考えるでしょう。

また、無断外出させないようにベッドに縛り付ける(身体拘束)などを行うと利用者の家族とのトラブルにもつながります。
非情ですが、家族や入居者本人とのトラブルは避けたいと思っている施設もあるのです。

 

対処法として

突然の無断の外出などの行動にも理由があります。

記憶力の低下による「外出したのに、何のために外に来たかわからなくなった」状態によるものや、お年寄り特有の環境が変わるストレスに耐えれなくなることによるものであったりします。

そこでグループホームでは地域の方々やボランティアの方に協力して頂き、みんなで高齢者を見守っていこうという活動を行っています。地域によっては認知症カフェなどを作り、深夜の無断外出を予防するための昼の活動も行っています。

そういった点で認知症への理解が深いグループホームは、無断外出などされる方の受け入れ準備もできていると言えます。まだ不安が残っている場合はこちらの記事もお読みください。老人ホームに体験入居する際の注目点が書かれています。

また、無断で外出することはあるものの自分の身の回りのことは自分でできるという程度の認知症の方であれば「認知症対応型」の有料老人ホームに入居するという方法もあります。

ぜひ認知症対応型有料老人ホームについても調べてみてください。

有料老人ホームの検索結果

 

介護サービスの支払いを滞納している場合

介護サービスを利用している人でも、お住まいの地域の自治体に介護保険料を払わなければなりません。
更には利用している介護サービスの1~3割(所得によって決定する)も支払わなければなりません。
介護生活はお金がかかってしまうものです。
「介護サービス利用はやめられないけど、お金が払えなくなってきた」などの状況から支払い滞納してしまった方もいらっしゃいます。

 

介護サービスの支払いを滞納

受け入れ拒否が予想される理由

介護施設もタダでは運営できません。

当然ですが支払い能力が低いと察された方は希望施設から入居を断られることもあります。(中には他の利用料が低い施設を紹介して頂けるところもありますが…)

では、なぜ支払い能力が低いと思われてしまうのでしょうか?

それは利用料の滞納などしている場合、担当のケアマネジャーや通所サービス事業所を通じて施設にも情報が共有されることがあるからです。

 

対処法として

介護サービス利用料は滞納しないようにしましょう。

地域の自治体が力を貸してくれることが3点ほどあります。

 

①介護保険料の減免措置の申請

市区町村の介護保険の担当窓口に相談することで、介護保険料の減免措置が受けられる自治体もあります。(一定の基準あり)

減免措置を利用することで、介護保険料の滞納にはならずに今までと同じように介護サービスが受けられます。

ご自身の住んでいる自治体では減免措置の制度があるのか、インターネットで「○○市 介護保険 減免措置」など検索して、制度があるかどうか調べてみましょう。

②介護保険の負担限度額認定制度の利用

介護施設にかかるお金は主に「介護サービス費」「住居費」「食費」「それ以外の雑費」の4つにわけることができます。

負担限度額認定制度とは、入居希望者の収入によって、上記の「住居費」と「食費」の支払い額が下がるというものです。
食費に関しては最大22%程度まで、住居費は最大0円まで下げることが可能です。

しかし、制度の対象施設は介護保険施設(特養、老健、療養型医療施設、介護医療院)のみとなっています。
制度の申請はご自身が住んでいらっしゃる自治体に負担限度額認定の申請を行うことで、申請書が発行されます。

③生活保護の申請

そもそも生活自体が金銭的に厳しくなってきている方は生活保護の申請という方法もあります。

生活保護を受けても入居できる介護施設もあるので、滞納し介護保険料を払うのも介護サービスを受けるのもつらくなるよりかは、生活保護に頼るというのも選択肢の1つでしょう。

参考:生活保護受給者でも介護保険は利用できるのか?

 

身元保証人が誰なのかをはっきりと決めていない場合

現在日本の9割以上の介護施設が入居時に身元保証人の有無を確認しています。
さらにその内の3割の施設が身元保証人がいないという理由で受け入れ拒否を行っています。

参考:介護施設等における身元保証人等に関する調査研究事業

 

受け入れ拒否が予想される理由

身元保証人は利用者様に何かあった際に、利用料金の支払いや入院の手続きなどを行います。多くの場合、入居希望者の子どもにあたるのですが、離れて暮らしているので連絡が取りにくいなどで身元保証人がしっかり決まっていない(決められない)ということも珍しくないのです。

厚生労働省は「身元保証人がいないということだけで入居拒否の正当な理由にはならない」としていますが、施設への対処は口頭注意だけで終わっており、改善されていないのも事実です。

参考:身元保証人のいない高齢者、介護施設の3割が入所拒む

 

対処法として

施設入居を依頼する前に前に誰が面倒をみられるのか、何かあった際に対応できるのかを身内の中ではっきりさせておく必要があります。

また、身元保証人(身元引受人)が家族の事情でつけられなかった場合でも、成年後見人をつければ入居できる場合もあります。

成年後見人は被介護者が認知症などで十分な判断能力がない場合などに、変わって財産管理などを行う役割をもっています。

詳しくはこちらの資料をご覧ください。

参考:成年後見制度~成年後見登記制度~

 

感染症・病を患っている場合

介護が必要になってくると心身共に弱っていきます。
いつも元気だった方もそのタイミングで感染症に罹患(りかん)することがあります。

 

受け入れ拒否が予想される理由

感染症を患っている場合、施設の方が気にされるのは他の利用者に生命の影響を与えてしまわないか?です。

例えばインフルエンザやノロウィルス、O-157などの空気感染、飛沫感染です。一時的なものかと思われるかもしれないですが、本人や家族の方が完治したと思われても潜伏している可能性があります。

 

対処法として

あらかじめ医療機関から看護サマリーを作成してもらいましょう

看護サマリーを希望する施設に提出することにより、施設側が他の利用者の生命に関するかしないかを判断することができます。受け入れて頂ける確率も上がるでしょう。

しかし感染症の受け入れの対応が難しい施設では、本来、空気感染しないようなHIV感染症、MRSAなどでも受け入れを断られることもあります。

入居したい施設が感染症に罹っている方を受け入れているかはインターネットでわかりますので、「○○(施設名) 感染症」と検索してみてください。

 

まとめ

介護を受ける高齢者と介護士

在宅介護で今まで介護されてきた方は、暴れてしまう方や無断外出してしまう方の介護は大変だったと思います。
決断の上で介護施設に頼ったのにもかかわらず受け入れを断られる、それはとてもつらいことに感じるでしょう。

適切な施設に入ることは、介護する方の不安を和らげるためにも重要なことです。

認知症の周辺症状は適切な対応で改善する場合もありますので、「重度の認知症=受け入れ拒否」というわけではありません。
もし、希望の施設から受け入れてもらえるか不安な場合は、あらかじめインターネットで施設で行われている認知症に対する指針や方針を調べておくとよいでしょう。

監修者:陽田 裕也

監修者:陽田 裕也監修者:陽田 裕也

資格:社会福祉士 生活相談員 介護福祉士 介護支援専門員
2001年介護福祉士の養成校を卒業と同時に介護福祉士を取得、翌年には社会福祉主事任用資格も取得した。 2002年から特別養護老人ホームで介護職員として勤務しており、その後、同一施設内で生活相談員や施設ケアマネジャーなどを経験しながら社会福祉士の国家試験に合格した。 現在は副施設長を兼任し生活相談員として相談援助に携わっている。 今後は権利擁護への知見を広げるため、成年後見人養成研修にも参加予定である。