【見極めチェックリスト付き】高齢者虐待や不適切ケアを予防・対応しよう!

介護施設に入居している親や兄弟(姉妹)の面会に行った際、傷や痣を見つけてしまうことがあるでしょう。

新聞やニュースなどでも時々取り上げられていますが、『虐待』を疑ってしまい、施設に対して不信感、不安や恐怖心を感じることもあるかもしれません。

虐待は、殴る、叩く、つねるなどの暴力行為以外にも種類があります。

そして、それらの虐待には入居者本人が出すサインがあり、早期に発見すれば深刻な状態にならなくて済みます。

この記事では、虐待や不適切なケアのサインを具体的にお伝えして、家族としてどのような対応をとればいいのか具体的に解説致します。

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暴力だけじゃない。虐待にも種類があります。

虐待と言えば『暴力行為』だけと思われがちですが、それ以外にも種類があります。

虐待の種類は大きくわけて「身体的虐待」「ネグレクト」「精神的虐待」「性的虐待」「経済的虐待」の5つです。

暴力行為以外は、見た目だけでは分かりにくいことが多く、本人からの訴えも少ないことから発見されにくい傾向にあります。

暴力行為以外についての虐待についても説明し、具体的な事例を伝えていきます。

身体的虐待

冒頭でも触れた暴力行為にあたる部分です。

骨折や皮下出血(痣)、皮膚剥離(皮膚がめくれる)などが身体に現れます。

施設内で一番発生しやすい虐待であり、施設スタッフは殴ったり叩いたりすることを決してやってはいけないことだと知っていながらも手が出るケースが多いのです。

普段は穏やかに接することができていても、認知症の症状などのスタッフが不快だと感じるような行為があった場合、反射的に顔を殴ったり、足を蹴ったりすることがあります。

日中は人目があるため、比較的夜勤帯に行なわれるケースが多いです。

また、複数の人が集まるホールや食堂ではなく、居室やトイレなど1対1の場面で行なわれることが多いです。

事例①

居室で横になっている入居者がオムツ内に排便をしてしまった。

その方は認知症であり、清潔か不潔を判断できなっており、排便を触ったりオムツをスタッフに投げつけるようなことがあった。

スタッフはそのような行為につい「カッ!」として入居者の手を強く払いのけ、指に怪我をさせてしまった。

事例②

トイレに行って便座に座ってもらおうと思い介助したが、入居者の足に力が入らず、なかなか立つことができなかった。

スタッフもしばらく介助を続けていたが、ストレスが瞬間的に爆発し、入居者の足を蹴ってしまった。

ネグレクト(介護放棄、怠惰)

多くの施設では、スタッフは人手不足のなか介護を行なっています。

実際に介護施設に行ったことがある方は施設のスタッフが常に動き回り、本当に忙しそうにしている姿を見たことがあるのではないでしょうか。

そのようななか、本来しなければならない介護をしないでそのまま放置することをネグレクトといいます。

事例①

特別用事がないにも関わらずナースコールを頻繁に押す入居者がいた。

そこでスタッフはその入居者に対して、「またあの人がナースコールを鳴らしている」「いつも特に用事がないのに鳴らして鬱陶しい」などの理由から、そのナースコールを無視して、そのまま放置し続けた。

事例②

スタッフは入居者のオムツに排泄物が出ていると知りながら、「忙しい」「時間がない」という理由でオムツを交換せずに、その入居者に不快な想いをさせた。

事例③

施設が人材不足であるという理由だけで入居者の入浴介助を実施せず、不潔な状態で数日過ごさせた。

入居者は入浴をしない代わりに全身清拭などで対応されることもなく、衣類なども交換されないまま放置されてしまった。

精神的虐待

入居者がスタッフの思うとおりの行動ができなかったり、スタッフに対して不快な行動をした場合に、『言葉の暴力』によって精神的虐待が行なわれることがあります。

手を出すことを理性で抑えることができても、ついつい暴言を吐いて入居者の精神状態を追い込んでいくのです。

事例①

認知症で目的もなく廊下を歩いている入居者に対して「なんのためにウロウロしているの?いくら歩いてもここから出ることはできないよ!」など声を荒げたりして、精神的に追い込んだ。

事例②

食事介助に時間がかかる入居者に対して「いつまで時間がかかるの?早く食べないと明日から食事を出しません!」などという言葉を使い、脅すような発言をした。

性的虐待

性的虐待は男女関係なく起こる可能性があります。

性的虐待の場合は、スタッフのストレスが原因でなく、面白半分で行なわれることが多く、非常に悪質です。

事例①

女性スタッフが男性入所者のおむつ交換中に「陰部が小さい」などと笑ったり、「臭い」「汚い」などのいう侮辱する発言をした。

事例②

男性スタッフが女性入居者に対し陰部を触ったり、卑猥な言葉を言ったりしてその反応を面白半分で楽しんだ。

経済的虐待

スタッフが勝手に入居者のお金を使い込んだり、貴金属を販売するなどして財産を横領することをいいます。

特に、訪問介護などスタッフが自宅に行ってサービスを行う場合に経済的虐待が行なわれることがあります。

事例①

身寄りのない入居者は、施設に通帳を管理してもらっており、そのなかから毎月利用料金を支払っていた。

しかしスタッフはその管理している通帳から勝手にお金を引き出し、横領していた。(全国的に時々ニュースになってる)

事例②

認知症の高齢者宅に訪問介護で訪れた際に、引き出しから勝手に通帳と印鑑を持ち出して、銀行で現金を引き出して横領した。

高齢者虐待の現状と原因

高齢者虐待はその事実が判明して問題になりますが、実際には判明しないまま隠れている部分もあり、実際にはデータ化されていないものもたくさんあるのです。

実際に通報された虐待の件数

高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果

出典:平成28年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果

虐待の疑いがあり通報や相談されたからと言って、それが実際に虐待だと判断されるとは限りません。

特に介護施設従事者による虐待は全体の25%程度しか判断されていません。

誤って通報・相談される理由としては施設と家族の意思の疎通が上手くいっていないことが挙げられますが、施設に対する嫌がらせなどで通報される事例もあるようです。

虐待の件数が施設よりも在宅が多い理由は、発見される可能性が高いことにあります。

家族による虐待の発見は訪問介護やデイサービスなどの介護サービス事業所のスタッフにより発見されるケースが多く、介護のプロなら虐待で出来た傷なのか、それ以外で出来た傷なのか容易に判断することができ、通報し解決へと導かれるのです。

高齢者虐待はなぜ起こる?虐待の原因とは

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虐待というものは身体的・社会的・精神的立場に強い者から弱い者に対して行なわれる原則があります。

要介護者は介護を受けているというそれだけで身体的に弱い立場にあります。

それに加え、「介護をしてもらって申し訳ない・・・」という精神的に弱い立場にあり、さらに、社会から孤立される傾向にあるので社会的にも立場が弱くなるのです。

実際の高齢者介護の現場において、虐待の引き金になるものは主に3つあります。

①介護スタッフ心身のストレスによるもの

普段は穏やかで丁寧に対応するスタッフでも、心身のストレスが限界にあると、本人でさえ気がつかないうちに、入居者に対して身体的・精神的虐待を突発的に行なってしまうことがあります。

自分の体調が万全でない状態で、高齢者の生活の支援をしないといけない状況に追い込まれると、余裕がなくなりそのような行為に結びつくのです。

②人材不足によるもの

介護業界は全国的に万年人材不足です。

そのためどこの施設においても虐待が発生する可能性はあります。

介護保険制度上では人員が確保されていても、その人数が必ずしも十分だとは限りません。

管理者の立場からすれば、法的な視点のみで人材確保をすることがありますが、それだけでは現場は不十分なのです。

必要な場所、時間にスタッフがおらず、ネグレクトや身体的虐待を引起すのです。

③組織(所属する事業所)に対する不満によるもの

自分の勤める施設などに対して不満があっても、それをぶつけるところがなく、入居者に虐待という形でぶつけてしまうこともあります。

例えば、給与面や休日面での不満が溜まり、行き場のない気持ちを経済的・性的虐待という形で現れます。

虐待防止に向けた法律「高齢者虐待防止法」

正式な法律名は『高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律』と言いますが、一般的には『高齢者虐待防止法』と呼んでいます。

2006年に施行された法律で、権利擁護の観点から高齢者を虐待から守るための法律です。

その対象者は介護保険制度の活用などに関係なく、全ての高齢者に対して該当します。

また、施設内で行なわれる虐待だけでなく、在宅介護などで家族が行なう虐待もこの法律に該当するのです。

参考:高齢者虐待防止法条文

 

「もしかして高齢者虐待?」チェックリストでみつける虐待のサイン

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虐待は早期発見、早期解決が基本で、一日も早く虐待から対象となる高齢者を守る必要があります。

虐待が疑われるサインを記載していますので、確認してみましょう。

身体的虐待

痣が日常的にある
つねってできるような痣の形をしている
本人の口から「叩かれた」等の直接的な訴えがある
ケガをしてもいても施設側からの連絡・報告がない
衣類で隠れている部分(脇や腹部など)に傷ができている
特定のスタッフの姿を見ると被害的な言動がある
寝たきりなのに骨折する

ネグレクト(介護放棄、怠惰)

オムツかぶれが頻繁にできる
衣類がいつも汚れていたり傷んでいる
体重が減少傾向にある
目やにや、耳カスがたくさんたまっている
身体から異臭がする
面会の度に同じ服を着ている
差し入れしている食べ物が減っていない

精神的虐待

少しの大きな声でも怯える
感情の起伏が大きくなる
認知症が急速にすすむ
特定の人(スタッフ・家族)の姿を目にすると落ち着きがなくなる
自己肯定感がなくなり、自信のない言動が現れる

性的虐待

主に異性を見るだけで怯える
卑猥な言葉をしゃべるようになる
陰部からの出血や傷がある
単独行動が増え、人目を気にするようになる
服で覆われている身体の部分に痣などができる

経済的虐待

預かりの金の報告が定期的にされていない
送付される領収書の金額と帳簿の金額が合わない
依頼していないのに、預かり金や通帳から引き出されている
明らかに本人が使用しないものを勝手に購入されている
通帳や銀行印の管理がスタッフひとりだけに任されている
車椅子等、施設で購入するべきものを個人で購入するように強要される

 

施設内で虐待が行われていた場合の対応方法

では実際に上記のチェックリストにも当てはまり、虐待が行われている可能性が高いと感じた時はどのように対応していけばよいのでしょうか?

以下では緊急度が高い時と低い時、それぞれの対応方法についてまとめていきます。

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緊急度が高いと感じた場合

虐待が確実に行われていて早く助けなければ命の危険があるという場合の対応方法です。

 

直接施設の窓口に伝える

冒頭でも触れましたが、場合によっては命の危機にさらされる場合があるため、迅速な対応をしないといけない場合があります。

入居者全般に関わる相談窓口が各事業所にありますので、自分達の見たこと、感じたことをそのまま伝えましょう。

そして、一日でも早く対応してくれるように促していきましょう。

自宅に連れて帰る

これ以上施設で任せておけないと感じたら、自宅に連れて帰るのも一つの方法です。

緊急避難をさせるといった考えで行い、その後施設のスタッフとゆっくり話し合いましょう。

 

緊急度が低いと感じた場合

虐待を確信したが、おこなわれている頻度や程度はそこまで高くないという場合の対応方法です。

 

再度確認し、できるだけ証拠を集める

虐待の可能性が確実なものであるかどうかを見極めるために再度確認しましょう。

そのためにはまず、記録を書くことから始めます。

記録のとり方については以下を参考にしてください。

8月12日 面会では右腕に痣はなかった。

8月23日 面来で右腕に痣があるのを発見する。本人に尋ねると「Aさんに叩かれた」と言う。

8月29日 面会にて、今度は左足にも痣があるのを発見する。

居室に隠しカメラを設置することを発想する人もいるかも知れませんが、それはリスクが高いです。

隠しカメラで証拠が明らかになればいいですが、それが施設側にバレてしまった場合や証拠が見つからなかった場合、施設側から不適切な行動があったとして扱われる可能性もあり、信頼関係は一気に崩壊することになるでしょう。

 

介護の相談窓口に通報する

介護の相談窓口には以下のようなものがあります。

①地域包括支援センター

最寄りの地域包括支援センターでは権利擁護の役割も果たすことになっています。

施設に入所していても対応してくれます。

②保険者(行政)

市町村の担当窓口に通報します。

通報先は市町村によって違いますので、『〇〇市 高齢者虐待 通報』で検索して調べてみましょう。

 

①・②とも通報すれば、その施設には必ず調査が入ります。

通報の段階では、自分達の持っている情報をしっかり伝えて、虐待を受けている可能性が高いことを話しましょう。

場合によっては、警察などが介入して解決へと導いてくれることになります。

 

違う老人ホームに移る

虐待かどうかはっきり分からないが、何とかしてあげたいという場合に別の施設に移ることを検討しましょう。

ただし、新しく別の施設に移るには時間がかかるため、その間にエスカレートする可能性もあります。

そのため他の対応方法と平行して施設を探すことをおすすめします。

どうしても、施設が見つからないのであれば、一時的に在宅介護に切り替えるのも一つの方法です。

参考:【間違えてはいけない】良い老人ホームの見分け方|チェック項目でポイントを抑えよう!

 

不適切なケアにも注意が必要。早めの対策で虐待を予防

虐待が表面化(顕在化)するのは、氷山の一角であり、隠れた場合には虐待を受けているけど発見されないままになっていたり、虐待の一歩手前の不適切なケアが行なわれているケースがあります。

不適切なケアを無くす事は、結果として虐待を予防することにもなります。

不適切ケアを根底とする虐待の概念図

出典:権利擁護研修会

 

不適切なケアの定義は?事例も紹介

不適切なケアとは、言葉の通り本来なら実施するべきではない不適切な介護のことを指します。

「明らかな虐待ではないけれど、本来そのような介護って正しくないよね?」

という介護であると表現すれば伝わりやすいかと思います。

不適切なケアは何も施設だけで行なわれるものではありません。

在宅介護においても、不適切なケアは存在するのです。

「ばあちゃん、良く喋るけど少しは黙っといて~」

「じいちゃん、同じことばかり繰り返しうるさいね~」

などの発言、言ったり聞いたりしたことはありませんか?

身内なら許せるような言動でも、プロの集団の介護施設などでは虐待の前兆として捉えるようにしましょう。

 

不適切なケアの事例

【排泄場面での事例】

  • 排尿や排便感覚があるにも関わらず、トイレに座れないという理由だけでオムツを着用している。
  • オムツのサイズが合っていないものを着用している。
  • 排泄介助が本人主体でなく、全体の時間の流れのみでしか行なわれていない。

【入浴場面での事例】

  • 自分で身体を洗えるにも関わらず職員が行なう。
  • 陰部や脇、指先など細かい部分まで洗えていない。

【食事場面での事例】

  • 自分で食べることができるのに時間がかかるという理由で介助を行なっている。
  • 食事摂取をしてもらう気持ちが強すぎて、食事介助が無理に行なわれる。

【その他】

  • 車椅子の大きさが合っておらず、適切な座位が保てなくて転倒・連絡のリスクが高くなっている。
  • 「そんなことしないで」「それをするのはやめて」「一人で歩かないで」などのスピーチロックが行なわれている。

 

不適切ケアチェックリスト

羞恥心に配慮されたケアになっていない
個々の心身状態に合った福祉用具等が使用されていない
入居者に合わせた支援でなくスタッフの都合に合わせた支援になっている
何かと人員不足のせいにしている
時間の流れでケアが行なわれている

 

不適切ケアが行われて居た場合の対処方法

「不適切なケアは100%ありません」と断言している施設は逆に怪しいです。

「もしかしたら不適切なケアが行なわれているかもしれないので、職員研修を行い虐待に繋がることがないように全力で努めています」という施設が本来あるべき姿なのです。

そのため、不適切なケアについて伝えるほうが施設にとってもプラスになります。

もしも入所している家族が面会に行った際、「不適切なケアではないか??」と感じた場合は、冷静にその場で職員に伝えることがベストです。

ただし伝えると言っても、単刀直入に「それって不適切なケアですよね?止めて下さい」と言えば、その後の関係がギクシャクする可能性があります。

そのため、トイレに座れないという理由だけでオムツを着用しているのなら「自宅では家族2人で介助して便器に座らせていました」と伝えるなど、

自分達ならどうするかを提案する形で伝えるようにしましょう。

 

「本当に虐待かな…?」勘違いしやすいケース

虐待は確信がなくても通報することができ、結果的に虐待でなくても罪に問われることはありません。

しかし、実際には虐待を疑った段階ですぐに通報していたら、キリがないケースもあります。

そんな時は、少し冷静になり以下のことを確認して下さい。

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高齢者は痣や傷ができやすく治りにくい

高齢者の皮膚は薄く少しの衝撃で痣や傷ができてしまいます。

車椅子からベッドに移るときなど、フットレスト(足を乗せる部分)に足をぶつけると皮膚剥離(皮膚がめくれて出血を伴う)も簡単にしてしまうのです。

骨の場合だと骨粗しょう症という病気で骨折しやすくなり、何もしなくても腰椎圧迫骨折になることもあります。

また、関節も硬くなります。

特に肘や膝は関節可動域が極端に狭くなり、衣類の着脱を行なうだけで骨折や脱臼する場合もあります。

 

認知症の方や精神的に不安定な方

認知症や精神的に不安定な場合には、自分で自分をコントロールできなくなります。

例えば自傷行為といわれるものがあり、右手の指で左手の腕を掻きむしったり、机に指を擦りつけて出血させるなど自分で自分の身体を傷つけてしまうこともあります。

入居者本人が認知症でなくても、他の入居者から叩かれる場合もあります。

認知症だからといって全てが許されるわけではありませんが、感情をコントロールできない方は、自分の感情のままに行動に移してしまい、他人を傷つけてしまうのです。

もちろん、そのような行為を発見すればスタッフは止めに入りますが、スタッフの分からないところで行なわれることもあります。

 

転倒・転落による事故

要介護1、2程度の入居者に多いですが、転倒や転落をしてもその事実をスタッフに伝えないまま過ごし、数日後に負傷していたことが判明することがあります。

スタッフに伝えない理由として・・・

「このぐらい大したことはない」

「別に痛みはないから」

「スタッフに迷惑を掛けたくない」

というようなことがあるようです。

このような場合には、スタッフが把握していないので、事故についても家族に説明ができません。その結果、報告が遅くなったり、信憑性に欠ける報告になってしまう可能性もあるのです。

 

セルフ・ネグレクト(介護拒否、自己放任)

セルフ・ネグレクトとは自分で自分の置かれている状況を放置することです。

『ゴミ屋敷』はセルフ・ネグレクトの典型的な例です。

ゴミ屋敷問題は、よくその状況だけにクローズアップさせてTV番組で取り上げられますが、その多くは精神的に何かしらの問題があり、その部分を解決しないと根本的な解決にはなりません。

入居者の場合、過去の苦い経験や、トラウマ、精神疾患などから「これ以上生きたくない」「早く死にたい」という理由で、食事や水分を摂取しなかったりする事例があります。

もちろん、精神的に問題がなくてもそのような行為に及ぶ人もいます。

通常は、身体状況に変化が現れる前に施設から家族に連絡が入るでしょう。

自己を否定するような言動がある
自殺をほのめかす言動がある
孤独で集団に所属することを好まない
明らかに困っている場面でも介護を求めない
自分で出来るにも関わらず、いつも服装や髪型が乱れている

まとめ

決して起きてはいけない高齢者の虐待ですが、どのような介護施設であっても、その可能性は『ゼロ』ではありません。

家族の立場ではとても心配なことだと思いますが、施設内部においても虐待が起こらないように、近年では徹底した取組みがなされています。

それでも万が一、虐待かもしれないと感じたら、本文で解説させた頂いた方法で、早期解決に導くようにしましょう。

監修者:陽田 裕也

監修者:陽田 裕也監修者:陽田 裕也

資格:社会福祉士 生活相談員 介護福祉士 介護支援専門員
2001年介護福祉士の養成校を卒業と同時に介護福祉士を取得、翌年には社会福祉主事任用資格も取得した。 2002年から特別養護老人ホームで介護職員として勤務しており、その後、同一施設内で生活相談員や施設ケアマネジャーなどを経験しながら社会福祉士の国家試験に合格した。 現在は副施設長を兼任し生活相談員として相談援助に携わっている。 今後は権利擁護への知見を広げるため、成年後見人養成研修にも参加予定である。