「老人ホームの面会が不安…」面会時間、頻度、差し入れなど些細な疑問を解決

住宅型老人ホームでの会話

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家族や親しい方が老人ホームに入居するとなると気になるのが「面会」です。

契約の際にも面会について説明があると思いますが、実際に行くとなると

「面会の時間、頻度、スタッフへの差し入れはどうしたらいいの?」と些細な疑問が次々と出てくるのではないでしょうか?

面会は施設と家族の信頼関係を構築するうえで、とても重要なことなのです。

この記事では実際に老人ホームで働くスタッフが入居者への面会の際によく聞く疑問や面会時に心がけたいことをまとめていきます。

施設のスタッフとの信頼関係をしっかりと築けるように心掛けていきましょう。

老人ホームの面会時間の平均や面会頻度について

入居者と面会する時間はとても大切です。

ただ、いざ「面会に行こう」と思っても、素朴な疑問が思いつくこともあるでしょう。

ここではそんな素朴な疑問に丁寧に答えていきます。

 

老人ホームへの面会頻度の理想は?

「老人ホームへの面会は毎日行く必要があるの?」と考えられている方もいらっしゃるかと思います。ただ、面会の頻度は入居されている方の心身状況と、面会に行こうとしている家族の環境によって違うでしょう。

例えば、身元引受人であっても四国と東京程離れている場合は年に1~2回が限界でしょう。心身ともに特別異常がない状態で、施設から5km程度以内に住んでいる場合は、週に1回面会に行けば十分です。

看取り介護に入っている状況で、家族が施設の近所に住んでいる場合なら毎日面会をして入居者本人の顔を見るようにしましょう。

 

面会時間は何時から何時まで?

面会時間は重要事項説明書に記載されている施設がほとんどですので、原則はその時間に面会に行くようにしましょう。

多くの場合は9時~17時くらいの時間が記載されています。

もし仕事の関係などでどうしてもその時間に面会に行くことができなければ、施設のスタッフに相談してみましょう。

また施設によっては面会時間を設けていなかったり、必要であれば泊まることができるところもあります。

参考:老人ホームとの入居契約に必要な書類とは?チェックポイントを抑えよう

 

面会する時間帯は?

面会をする時間帯は、その目的によって変わります。

食事を食べている様子を観たいなら食事時間に合わせて面会をしましょう。

他愛もない話をしたいのであれば14~15時が最適です。

ただし、面会と施設の行事と重なる可能性もあるので行事計画書などで予定を確認することも大切です。

 

面会の平均滞在時間は?

スタッフの業務に差し支えないよう、長くても1時間程度にしておきましょう。

それ以上になると、施設全体の流れに支障をきたしてしまう恐れがあります。

例えばですが、スタッフがおむつ交換をしようと訪室したときに家族がいたので、1時間後にもう一度おむつ交換をしようと訪室するとまだそこに家族がいるとなると、正直スタッフは困ってしまいます。

面会者のなかには毎日10分ずつ面会する方もいます。

 

車椅子やストレッチャーで面会にいくことはできる?

多くの施設では車椅子やストレッチャーでも面会はできます。

施設によっては、施設内を移動するための車椅子を玄関に設置しているところもあります。

今は人生100年時代とも言われており、老人ホームでは100歳を超える人は決して珍しくありません。100歳の入居者の子供は70代になります。

そうなると、その子供にも介護が必要になるため、孫が身元引受人となっているケースもあります。

そのような場合、孫は親を祖父母の施設へ面会に行かせてあげたいと思う気持ちがあるでしょう。

しかし、親が車椅子やストレッチャーでないと移動できなければ、面会が出来ませんので、車椅子ごと施設への面会ができるかどうかはとても重要になってきます。

車椅子やストレッチャーであっても面会ができるかどうか気になる場合は、事前に施設に確認をとっておきましょう。

 

家族以外の人が面会したい場合はどうすればいいの?

基本的に施設は家族以外の人が面会に来ても制限することはありません。

そのため地元の友達や地域の人なども面会に行くことができます。

ただし気をつけなければならないことが2つあります。

まず1つ目は、事前に入居者の心身状態を把握しておくことです。

入居者の心身状態が悪いときに突然面会してしまうと、面会者はイメージとの違いに困惑してしまう場合があります。

また、認知症がある場合など、接し方に配慮が必要な場合もあります。事前に施設や入居者家族に確認しておきましょう。

2つ目は、家族に面会に行っても良いかを連絡しておくことです。

家族によっては、家族以外の人に合わせたくないという人もいますので、後々トラブルにならないよう、念のため事前に連絡をしておくほうがいいでしょう。

面会時にスタッフの方への差し入れは必要?

基本的に必要ありません。施設自体がお断りをしているところも多いです。

どうしても感謝の気持ちを伝えたくて何か差し入れしたいという場合は、果物やスーパーのお菓子のような簡単な食べ物などでいいでしょう。

夏ならアイスや冷たいジュース・コーヒー等、季節に合った差し入れが喜ばれます。

 

老人ホームから面会拒否されてしまうケース

「折角遠方から面会に来たのに、面会を拒まれた・・・」というケースもあります。

そうならないためにも、面会を拒否される場合にはどのようなことがあるかをまとめてみました。

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感染症の危険があるとき

特に多いのがインフルエンザが流行する12~2月の間です。

高齢者は免疫力が低く、インフルエンザなどの感染症に罹患しやすいため、施設としては、外部からの持込で感染することを最も恐れています。

いくら施設内で感染しないように気をつけていても、面会者など外部からの菌などの持込があれば防ぐことができません。

そのため施設によっては、施設内に一歩も入ることができないほど厳重に制限をしているところもあります。事前に施設に連絡してから面会に行くことをおすすめします。

 

面会者(入居者の家族など)に問題があるとき

ごく稀なケースですが、施設に対する嫌がらせや他の入居者に迷惑をかけるような行為があった場合、施設への一切の立ち入りを禁止することがあります。

また、在宅介護において家族からの虐待があり『措置扱い』で入居となる場合には、行政や警察の介入の元で家族を特定するため、一切の面会ができません。

『措置扱い』とは介護保険制度ではなく、行政による措置的な対応として、虐待を受けている高齢者の身を守るために行なわれるものです。

入居者に対して面会者が不適切な対応をする場合にも面会を拒否されます。

例えば、入居者は食事を食べることが出来ない状態であるのに、スタッフに内緒で食事を介助する場合などがこれにあたります。

最悪の場合には警察に通報されることもありますので、面会のマナーをしっかり守るようにしましょう。

 

施設に依頼して面会制限をかけているとき

全ての施設ではありませんが、家族(身元引受人)が施設に依頼して、自分達(身元引受人)以外の面会をさせないようにすることがあります。

親戚同士の仲が悪い場合や、歳をとった姿を他人に見られたくないという場合、または過去の元気だった時にトラブルになったことがある人などに対しては、面会ができないように依頼しているケースがあるのです。

施設側は面会を全て把握することは難しいものの、強引に面会を迫るようなことがあれば、出入り禁止になる可能性もあるでしょう。

 

面会を受けることによって精神状態が不安定になる場合

施設に入居して間もないころは、特に精神状態が不安定になりやすく、「自宅に帰らせて欲しい!!」と激しく訴えることもあります。

そのような方は、面会を受けることによって精神状態が安定することもありますが、逆に益々不安定になる場合もあります。

家族の立場からすると、心配だから少しでも顔が見たいと思うかもしれませんが、精神的に不安定になって一番辛いのは入居者本人です。

状態報告をスタッフから受けたら、あとは施設にお任せしましょう。

「顔だけでも見たい」という場合は、遠くから見守ることができないかスタッフに相談してみると良いでしょう。

老人ホームへの面会が大切なワケは?

入居契約時に施設のスタッフから「なるべく面会には来てくださいね」と言われることもあります。

なるべく面会をして、いつまでも家族の絆を強めていきましょう。

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スタッフとの信頼関係を築くため

入居者に会いに行くことはもちろんですが、スタッフと馴染みの関係になることによって得られるメリットはたくさんあります。

例えば「今日は少し食欲がないみたいですね~」「入れ歯が少し合わないみたいです」

など、入居者本人についての些細な情報を気軽に教えてくれるようになります。

また、要望や不満も言いやすくなります。

滅多に面会に行かない家族に要望や不満を言われると、施設は構えてしまいます。

しかし、面会の頻度が多いと、自然の会話のなかでそのようなことを気軽に伝えられますし、施設のスタッフも自然に受入れてくれるようになります。

 

入居者の状態を確認するため

心身状況に変化があればスタッフから連絡があります。

しかし、その連絡だけに頼るのではなく、直接家族が入居者と面会し、目でみて状態を把握することも大切です。

例えば、施設から「足を机の角で打って痣ができました」という連絡があった場合、定期的に面会に行っておくと入居者の皮膚の状況も分かっていますので、「おばあさんは皮膚が弱かったから痣になりやすいのだろうな・・・」と連想することができます。

また、他に不自然な傷や怪我がないかをその都度確認することもできます。

あってはならないことですが、スタッフが意識的に身体を傷つけるということも考えられなくはないです。

参考:【見極めチェックリストあり】高齢者虐待や不適切ケアを予防・対応しよう!

 

面会をすることによって入居者の精神状態が安定するため

どんなに立派な介護のプロであっても家族の代わりは絶対になれません。

家族には施設スタッフにはない、とても固い絆があります。

特に入居して間もないときの面会は重要です。

環境の変化によって混乱し認知症の症状が悪化したりすることもありますので、頻繁に面会に行くようにしましょう。

普段は怒りっぽい入所者でも、家族の顔を見ることにより笑顔になり精神的に安定する場合もあります。

定期的に面会に行くことによって、

「まだまだ家族が来てくれる」「自分は大切な存在なのだ」

という自己肯定感が維持でき、精神的に不安になるのを防ぐことができます。

 

面会に行く際の心得

面会は『施設』『入居者本人』『家族』の三者がお互い協力して理解し合えれば、とても意義のあるものになります。

三者とも気持ちよく面会をおこなえるように、ここでは家族としてどうすばいいのか、面会に行く際の心得をお伝えします。

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「大切に想っている」ということを伝える

入居者の多くは「自宅で過ごしたいけれど、施設にはいるのは仕方がない・・・」と思っています。

ただ、面会の頻度や態度によっては、入所者は自己肯定感が低くなり、心身ともに衰弱が加速する可能があります。

面会の際には、手や足を擦る、肩をもんだりするなどのスキンシップをしたり、好物の食べ物を差し入れたりと、大切に想っている事を表現しましょう。

「夜は良く眠れる?」[痛いところはない?」などの声を掛けてあげてもいいでしょう。

 

罪悪感や後悔を感じている場合はスタッフに相談する

親や兄弟姉妹などの介護を施設に依頼することに対して、罪悪感や後悔をする場合もあります。

「本当のこれで良かったのか・・・」

「もう少し自分達で出来たのではないだろうか・・・」

このように感じた場合には、スタッフに相談すると良いでしょう。

特にソーシャルワーカー(社会福祉士)はこのような相談のプロですので、入居者の心身状況を踏まえて、適切なアドバイスをしれくれます。

 

施設スタッフの説明をしっかりと聞く

入居者の心身状況については、基本的に施設から電話での連絡がありますが、面会の際にスタッフから説明を受ける場合もあります。

例えば、「最近食欲が落ちてますが、胃ろうなどは検討されますか?」など、重要だと思われることについては、入居者本人の状況を見てもらいながら説明や質問される場合です。

そこで、スタッフが言っていることを理解できず、面会から帰ったあと身内に連絡や相談をしてしまうと話が食い違い、結果的に施設に迷惑を掛けることになります。

施設からの話の内容によっては難しいこともあるかもしれませんが、分からないことはそのままにしないことが大切です。

分からないことがある場合はその場で「それってどういうことでしょうか?」など質問してスタッフの説明をしっかり聞くようにしましょう。

 

家族間で情報を共有する

特に身元引受人が面会に行った場合に重要です。

入居者本人の心身状況やその他の情報を家族に伝えて共有することが大切です。

例えば、形のあるものは食べることができず、プリンやヨーグルトなどのおやつしか食べることができない状態になったなら、そのことを他の家族に伝えましょう。

そうすることによって、他の家族が差し入れする際に、実際に食べることができるおやつを持参することができます。

面会での様子は家族などで共有して、同じ認識のもとで関わっていくといいでしょう。

老人ホームへの面会は苦痛にならない程度で

そもそも何のために施設に介護をお願いしているのでしょうか?

多くの場合は『在宅介護の限界』でしょう。

『限界』と感じる理由としては以下のような理由があると思います。

  • 介護者(家族)が病気になって介護どころではない。
  • 自分も高齢で介護を受けている。
  • 子育てもしないといけない。
  • 仕事をしないといけない。

施設にお願いしたにも関わらず、自分達の生活に無理をしてまで面会にいく必要はありません。

今一度施設にお願いした理由を思い出して、決して無理のない範囲で面会することが大切です。

 

まとめ

施設に入居しても外出や外泊などで家族と一緒に過ごすことはできますが、現実的にはなかなか難しいでしょう。

その分、面会によって家族の絆を強くすることができます。

面会で家族を目にしたときの入居者本人の笑顔・・・スタッフではどんなに努力しても引き出すことはできません。
面会こそ、施設介護を選ぶ上で家族ができる重要な役割です。

監修者:陽田 裕也

監修者:陽田 裕也監修者:陽田 裕也

資格:社会福祉士 生活相談員 介護福祉士 介護支援専門員
2001年介護福祉士の養成校を卒業と同時に介護福祉士を取得、翌年には社会福祉主事任用資格も取得した。 2002年から特別養護老人ホームで介護職員として勤務しており、その後、同一施設内で生活相談員や施設ケアマネジャーなどを経験しながら社会福祉士の国家試験に合格した。 現在は副施設長を兼任し生活相談員として相談援助に携わっている。 今後は権利擁護への知見を広げるため、成年後見人養成研修にも参加予定である。